ニーネ ワンマン「ともかく」@ganja☯acid presents『真昼の廃人 真夜中のHigh人』

 

この日の大阪行きの目的は、ニーネのライブ「ともかく」を観るためでした。
ニーネ初の大阪ワンマンにして、事故に遭われて4年半バンドを休んでいたサダさんの復帰祝いライブの関西版。9月6日の東京版復帰祝ワンマン「とにかく」に行けないことに非常に落ち込みながらも*1、わたしには「ともかく」がある!とこの「ともかく」を心の支えにしていたのです。
東京版「とにかく」もとてもよいライブだったと聞きますが、この日の「ともかく」も素晴らしかったです。この3人で音が出せることがうれしくてしょうがない、という必然と奇蹟が結晶した時間。よろこびのグルーヴ。これって無敵だな。かっこよくって、うれしくて誇らしくて泣けてきちゃう夜でした。

一部: 01)酔っぱらっている 02)約束 03)空を見ていると 04)恋しくて(小沢健二カバー) 05)よろこび 06)反省 07)とにかく 08)マカロンの歌
二部: 09)人間扱いしようぜ 10)自分のことが出来たら 11)タワオブサン(サダさんボーカル) 12)アイラブユー(尾崎豊カバー) 13)天気みたいに 14)誰もいない(ヒライさんボーカル) 15)はなそうぜ 16)タイ料理
アンコール1: 17)かっこつけて行こう 18)うつぎみDXOK アンコール2: 19)サマーメロディ

お店の方のリクエストで「恋しくて」のカバーが聴けてうれしかった!わたしは小沢健二を通らなかったので(ややあって若干避けていた)、この歌はニーネのカバーでハジメテ聴いたのですが、すごいすんなりニーネの歌になっているのでオザケンのカバーだと知ってびっくりしました。それくらいニーネの歌になっているのにあまりライブで演らないのでこの日観たのがハジメテでした。すごいへんてこで切なくて、オザケンいい歌作るんだなあ(スーパーいまさら)。歌う大塚さんに歌に対する愛情があふれてるのがとてもよい。ぐっとくる。また演ってほしいなー。
弾き語りでしか聴いていなかった「人間扱いしようぜ」がバンドで聴けたのもうれしかった!てか、そうだよね。まずバンドで聴いておくべきだったのにわたしったら。いやいやかっこよかったです。でも、ニーネの曲にハズレなしっていうかどれもほんとにかっこよくって。それがあのテンションで繰り出されるのでたまらないものがありました。なんでライブって終わっちゃうんだろう。
自分としては、はるばる大阪まで新幹線代と夜行バス*2代をかけて出かけたことを少し後悔させてほしい気持ちもあったのですが、困ったことに、この夜に立ち会えてよかったとしか思えず。いい夜だった。いい一日。花のような一日だった(これはニーネの歌のタイトル)。
 
(写真右手前にあるのはドリンクチケットなんだけどなんたる使いまわし。貴重な気がして引き換えられず)

*1:デキシード・ザ・エモンズの復活ライブと重なっていたため。なんたる人生の妙。家族会議したよ

*2:翌日下北でピーズだったためこの日は日帰り

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喫茶タンポポ

8月の終わりに手にした「純喫茶へ、1000軒」。

純喫茶へ、1000軒

純喫茶へ、1000軒

わくわくめくったページの冒頭に紹介されている喫茶店のたたずまいがあまりに好みすぎてびっくりして。ほんとに冒頭のページだもんで、用心もして。何度も冷静になれ‥と自分に言い聞かせてはそのページを開き、ダメだ、どう見てもずばぬけて、好みだ素敵だ行ってみたい。住所を見たら大阪で。
ああっ大阪、遠いなあ。うなだれた頭をぱっとあげたのは、そう、わたし、10月に大阪行くんでした。そんなわけで、10月当日。新幹線から降りてまず向かったのは天王寺。からの阪堺電車。「線路沿いにあり阪堺電車の車窓からお店のたたずまいが見える」らしいけど天王寺方面から乗ったときにそれは有効なのかしら?←有効でした。これは方向音痴にはありがたい‥。いそいそとお店に向かいドアを開けると、なんともいえない、穏やかで優しい空間が待っていてくれました。
 
素敵だ〜‥。本で見たとおりだ‥、本で見た以上だ。ひたすらうっとりと、外を走る電車の音に耳をすませてぼんやりしていたい。
おずおずとお店のマッチいただきたい旨を告げると、マスターは「もしかしてあの本を見て来てくれたの?」。わたしのようにあの本に魅了されてこのお店を訪ねるお客さんがかなり居るらしく、「あんなに高い本売れるのか心配してたけど売れているんだね?」「あの本に使ってもらった写真がすごく綺麗に写っているから実物を見てがっかりされないか心配で」お茶目に微笑まれました。たしかにあの本に使われた写真はすごく素敵だったけど、実物はもっと素敵です!それに実物は実物だもの。ここにこうして自分の身をおけるんだもの。いざこの空間に来てびっくりしたのは、お店の中のはしばしまで愛情深く目が行き届いていること。古いお店ながら清潔そのもので。特に、おしぼりが折り目正しくきちっと巻かれて提供されたこと感動しました。普段おしぼりなんてきちんとしなくても気にならないのですが、嫌味なく、でもほんとに心がすみずみまで行き届いているなあ、と。そう思ってお店の中を見ると、このこじんまりしたお店のサイズも、ほどほどの音量で流れるテレビの音声も、すべてがさりげなく好ましく、くつろげるように配慮された空間で。なんともじんわりあたたかいきもちになるのです。
  
「どこから来たの?別にこの喫茶店のために来たわけじゃないでしょ?」マスターのお友達らしき常連さんに聞かれ、「夕方から大阪に用があったので、そのついでと言ってはなんなのですが。足をのばしてここまで来ました。来てよかったです」。この日だけで関東からいらした客人が3組めだったとか。「今は東京じゃこういう喫茶店は珍しいんだってね?」そんなものなのかねえ、笑うおふたりのやりとりのなんともいえない穏やかさ。わたしより先にいらしていた常連さんは、このまま晴れるといいねえ、気をつけて帰るんだよ、と通りすがりのわたしに優しい言葉をくださいました。素敵なお店は素敵な常連さんで出来ている。
カルピス名作劇場に出てきそうなマスターは、住吉で歩いて観光するならやっぱり神社ですかあ、とねぼけたことをたずねるわたしに優しく道を教えてくださり、「また大阪へいらしたときにはぜひ寄ってくださいね」とびあがりたくなるくらいうれしい言葉をくださいました。その言葉すっかりお返しさせていただきます。また大阪に行く時にはぜひ寄らせてくださいね。マスターいつまでもお元気で。

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ファッション・イラストレーター森本美由紀展/森本美由紀ナイト第一夜 @弥生美術館

【ファッション・イラストレーター 森本美由紀展】 @弥生美術館
 

ファッション・センスと高いデッサン力を備え、スタイリッシュなイラストレーションを描いた森本美由紀(1959-2013)。80年代から近年まで、雑誌『mc Sister』『Olive』『25ans』『VOGUE』等で活躍し、トップクラスの人気を誇りました。ピチカート・ファイヴとのコラボレーションでも知られ、90年代には“渋谷系”ブームのアイコンになりました。
森本は2013年に54歳の若さで急逝しましたが、筆と墨によるスタイル画を追求し続け、女の子の憧れのファッションを描きました。
本展覧会ではアトリエに残された作品を一挙公開。進化し続けた30年の軌跡をたどります。

8月29日土曜日、森本美由紀ナイト第一夜にあわせて弥生美術館。トークショーから逆算してともだちと待ち合わせしたんだけど展示観る時間がたりなくなってしまった(けどお茶は飲む。ここに時間を使いすぎって節も)(いや、ちゃんと一周観られたんだけど雑誌スクラップなどねちっこくもっと見たかった)ので一部展示替え後の九月にも行こうと思います。

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夏のタマちゃん祭り @888ブックス

【夏のタマちゃん祭り】@888ブックス
 

7月30日から8月9日まで、ファッションイラストレーター、故・森本美由紀さんの展示を行います。現在弥生美術館で回顧展を開催中。こちらのスペースでは、森本さんの分身的キャラクター「タマちゃん」の原画のほか、てぬぐいなどのタマちゃんグッズも制作。おそらく弥生美術館でも展示されない、小さなカットなどの原画もお見せします。初期タマちゃんは、ドングリみたいで、こちらも味わい深いです。弥生美術館の展示に合わせて刊行された新刊2種(河出書房新社刊)も販売します。

8月7日金曜日の夕方。はじめて降りる駅に不安を抱きながら(目的の場所までたどりつけるだろうか、ああおそろしい駅から徒歩10分。しかも19時閉館だから道に迷ってる時間が無い!ああおそろしい駅から徒歩10分。方向音痴に10分あたえたら、無限の可能性があることをあなたはご存知か‥。HPに載っていたここのギャラリーへのアクセスマップがそれはそれはシャレオツな標記でね‥。こんなのこの町に馴染みの人にしか通じないよ!いっそ住宅地図を載せてくれ‥と方向音痴の自分のことはうらみあきているので世の中をうらむモードになっていたのでございます)降り立った幡ヶ谷駅

意外や庶民的な町で、ギャラリーまでもてくてく歩くよ商店街、しかもここの商店街の街頭が昭和的キュートさで不安もどこへやら。入ってみたい喫茶店をチェックしながらすんなり目的の場所につけたのでした。ビバ商店街。

たどりついたギャラリーは新しい空間らしく空気がぱりっとしてそんな清潔できもちのよい場所に愛らしいタマちゃんがところせましと展示されていて、ウーキャーウーキャー大興奮。タマちゃんてタマちゃんてなんてかわいいの!そしてコオニちゃんのいぢらしさ。鬼なのに!ひさしぶりのタマちゃんとの再会がスーパー豪華だったものでアドレナリンでまくりでニッコニコしながら見入っていたら、「タマちゃん、お好きなんですね」とギャラリーのお兄さんに遠くから話しかけられた。
はい、大ッ好きです!こんなにたくさんのタマちゃんを一時に拝めるなんて思ってなかったので感激です!ここにたくさんタマちゃんがいるってことは、弥生美術館の展示にはタマちゃんはないんですか? 「いや、ありますよー。ただ、メインはクロッキーやファッション画なので、タマちゃんのスペースはこんなにはないんです」。そうですか〜、じゃあこのタマちゃん展は貴重ですね‥。‥このグッズは、弥生美術館でも売られているんですか?(いまは頭に血がのぼっているから出来れば後日に冷静な判断を下して判別したいとワラにもすがる思い)。「あれ‥どうだったかな、弥生美術館にあるとしても、こんなに種類はいれてないと思いますよ」(このお兄さん留守番なのかしら‥。嗚呼、わたしの暴走をとめてほしいのにぃ。でもこんなかわいいグッズを見て、頭に血がのぼらないことなんてないんだ。いつ見てものぼせてしまうなら、覚悟を決めて今日買わせてもらおう‥)

けっこうがっつり買っちゃった★。
ギャラリーのお兄さん、少しひいてた気がする。ううん!気のせいかナ!

タマちゃん the Onion: もうひとりの森本美由紀

タマちゃん the Onion: もうひとりの森本美由紀

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/06/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
ところでこうしてがっつり1冊の単行本になった*1タマちゃんを読んで‥。自分の思考が大きくタマちゃんに影響を受けていることに気付いてびっくり。あんな小さな連載だったのに!「好いたらしい」とか「エッチな人生」という単語を自分の辞書にいれているのはまぎれもなくタマちゃん経由‥! 「私の心はネコボンボン」、このタイトル憶えてるもん!
この時期のmcシスターは森本美由紀が絵を描き沼田元氣が写真を撮るという、文化的円熟を惜しげもなく披露していたもんじゃよ‥って思わず長老モード。でもほんとに。そしてそういうものって何気なく目にしてもいつまでも脳裏に残るんだな〜。ああ、わたし、雑誌文化って好きだった。ありがとう、いろいろ。

 
ギャラリーのお兄さんも絶賛の手作りエプロン。ポケット(タマちゃん)が浅くてモノがはいらないところがよいとのこと。愛しい〜。

*1:ありがとうありがとうありがとうございます!!

ミロコマチコ絵本原画展「きいろいたいよう」@イルフ童画館

ミロコマチコ絵本原画展「きいろいたいよう」 2015年7月10日 (金) 〜 9月14日 (月)

オレときいろ

オレときいろ

画面いっぱいに広がるきいろ、きいろ、きいろ…!!
ミロコマチコさん最新作の『オレときいろ』は、そんなまぶしいくらいエネルギーに満ち満ちた作品です。印刷された絵本でもまばゆいほどですが、原画となると、その勢いはとどまることを知りません。
『オオカミがとぶひ』で鮮烈にデビューしたミロコさんは、動植物を生き生きと描き続けています。本展ではそんな魅力たっぷりな動物たちが大集合!『オレときいろ』、『オオカミがとぶひ』、『てつぞうはね』、『ぼくのふとんはうみでできている』、初公開となる『サバンナの動物親子に学ぶ』挿絵原画も展示いたします。さらに、伊勢丹新宿店のディスプレイで制作された、迫力の立体作品も登場します。
ぜひ、「きいろいたいよう」を体いっぱいにあびて、この夏を楽しんでください。(→イルフ童画館HP

オオカミがとぶひ (こどもプレス)

オオカミがとぶひ (こどもプレス)

ぼくのふとんはうみでできている

ぼくのふとんはうみでできている

てつぞうはね

てつぞうはね

ばーんと広がるイキオイのある色に筆使い*1にきもちよく圧倒されました。圧倒されながらきもちよく降参して、ふふふって機嫌よくなったり、少し泣いたり。心細くなったり、もし怒らなくちゃいけないときにはしっかり怒ろうって思ったり。きいろいたいようを心にもあびて、今年の夏は元気に過ごせそう。

*1:ミロコさんの喋る姿を拝見した後だったので、あのぽとりぽとり喋る方がこんなうおーって文章や絵を描かれるのねーってイイゾイイゾな気持にもなりました

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