美学校:ゲストあがた森魚

梅雨明けのおそろしい暑さ。「暑い」とか「暑い」とか、わざわざ言うだけバカバカしいので、言わないでおこうと思うのだけれど。今、心から言えるのは、「暑い‥」という、この一語だけ‥。猛暑のなか、今日のおやつはとらや季節の生菓子「若葉蔭」(→☆)。涼やか‥!
今日のゲストはあがた森魚さん。すみませんあがたファン歴20年の*1わたしの今回の授業レポはむさくるしい暑さです。クーラーの効いた部屋で読んでください(もしくはいっそ読まんでください‥)。

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あがた森魚といえば。好きな人は大好きで、知らない人は知らなくて。きもちわるいと思う人はきもちわるく思うだろうよ、という異色歌手なのだけど(兼映画監督・俳優・文筆家)。わたしの実生活圏内(乙美とかネットの趣味世界以外の、学校や会社とか)、同年代で、あがた森魚のファンだという人に会ったことはありません。というか名前を知っていたのは高校1年時のクラスメイトCさんだけだよ*2。Cさんは、眉間にシワをよせて、「きもちわるい」と言ったよ‥(でもハジメあがた森魚を知ってる人がいた!と感動した当時のわたし)。
昨年デビュー35周年だったのだけど、一貫して、歌っているのは見事なまでに、星やスミレのことばかりという、ほんとにその変わらなさには感服であります。ひとつのものをずっと愛したくても、ひとは、ものは、変わってゆくもの。それなのにあがたさんたら。フォーク・ニューウェーブ・タンゴ・ブラジル音楽と、音楽スパイスは変われども、見事なまでの、変わらなさ。変わらなさっていうか‥。変われなさっていうか。「好きなものって、自分が自分であるあかし」とは、ヌマ先生。

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授業のトークテーマは、大きく分けて「乙女について」「旅について」「男と女について」。乙女については麗しの「佐藤敬子先生」への思いをからめて。「女性の理知的な包容力。聡明さ、グラマラスな魔力。たおやかにふるまいながら、色々な魅力の内面には、強さ‥母性があってほしい」。乙女の強さというのが母性だとは‥。なるほど‥ながらも、ああ‥そうか。「将来子どもを持つ・持たないに係わらず、周囲に母性愛をそそげる人でいてほしい」。乙女トークのシめには「春の嵐の夜の手品師」を歌ってくださいました。旅については「人生が。生きてることが、旅‥だよね」と。人生‥。ときに祭りで、ときには旅で。わたしはまだ一言で総括できないけれど‥。はるかなきもちで、シめの「いとしの第六惑星」をたのしむしあわせ。しあわせすぎて気が遠くなる。さいごのテーマは「男と女」。含蓄深い‥。質問コーナーをはさんで、「赤色エレジー」でシめ。
質問コーナーでおもしろかったのは、映画「僕は天使ぢゃないよ [DVD]*3で好きなシーンは何処ですか?というのに対し、「今となっては割合面白く出来てるんじゃないかと思うんだけどね。ラストシーンとか好きだし。‥でも、ほんとは、幸子(ヒロイン)は緑魔子さんにお願いしたかったんだよねえ。当時緑魔子さんはすごい売れっ子で、スケジュール的に都合がつかず、ヒロイン役はダメだったんだけど。‥今思うと、数ヶ月を待てなかった自分は若かったねえ、性急だったんだねえ。5ヶ月待って取り組みってことが出来なかったんだね。それで、緑魔子さんをヒロインにした“僕は天使ぢゃないよ”は、想像のなかにしかないのだけれど。‥それが一番のお気に入りだったりしてね‥(小さく笑い)」。うわー、ロマンチストってどうよ、どうなのよ。
今後の興味の方向を聞かれ、「9月で60歳になるから‥。60と云えば定年だからねえ。もう“大人げない”とか関係ない。むしろ子供のように遊ぼうよ、とね」。(カッコイー!)
好きな日本語は「甘噛み」。「男の子って犬みたいなもんで。痛くないように噛んでみるんだけど、つい痛くしちゃう」。(せつないー!)
好きな食べ物を聞かれ、「食べ物のことを聞くなんて‥!食べ物は思想の根源だからおそろしいことだよお」。(ウオーめんどくせえ!)(いえいえ、好きな食べ物はお米だそうです)
(質問コーナーではないけれど)「赤色エレジー」の創作源を、あがたさんが「自分たちのダダイズム」と説明し、ヌマ先生が「女々しくて美しい」と補足したところも胸キュンでした。嗚呼‥。

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ときおりはさむBGM(おやつのまえにはもちろん「小さな喫茶店」♪)は、ヌマ先生セレクト。ヌマ先生のあがたベスト3が、「永遠の遠国のうた」(は納得としても)、「私のキリギリス」「仁丹搭の歌」というのになんとなく衝撃を覚えました*4(こちら(→☆)で試聴できます←購入も出来ます)。衝撃を覚えつつ、わたしもベスト3を考えてみたところ、「水晶になりたい(さきほどのリンク先で試聴&購入できます)」「ウィンター・バスストップ(→☆)」「空飛ぶ理科教室」かなあ‥。「水晶〜」と「〜バスストップ」はゆるぎないなあ、3曲目の「理科教室」は、気分で変わるかなあ。なにしろ名曲テンコ盛りだもの。今年の冬はひさかたぶりに東京でプラネタリウムライブを予定しているそうなので。すっごくたのしみ!

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と・まあ、ベタ誉めしたけれど、実のところ、あがたライブに通って20年弱(最近は休みがちだったし、すごく熱心なファンではないです)。いい夜ばかりではありませんでした。企画倒れというか‥。‥なぜ‥わたしはここに‥的気が遠くなってしまう夜も、2・3夜ありました*5 *6。まあ長年見ていればそんなこともあるヨネ‥、そう思いながらも、そんな記憶が強烈で、かるく、あがたさんへの思いを見くびっていた節がありました。えー、実はわたしはあがたさんの「おもてなし班」にさせていただいたのですが。12人の豪華ゲストのなかからあがたさんをトップ指名してしまった自分に対して、後悔の念がおしよせてきていて。「まあでもわたしのなかでは妥当だもん、よし」と自分に言い聞かせる思いでおもてなしミーティングに向かったのですが。いざあがたさんをひと目見たら、邪念ふきとびアホみたいな笑顔をふりまいてしまって。もしもわたしが犬ならば、尻尾がちぎれるほどのイキオイだったね‥。自分にドン引き。そんな自分に心底驚きつつ、いろいろなことを観念しました。‥生きてゆく私。

*1:マイ・ファーストあがたは、「うる星やつら」のエンディングテーマ「星空サイクリング」でした。かっこいいナーと思って貸しレコード屋さんで、ヴァージンVSの「乗物デラックス」を借りたのです。小学生の頃でした。そのときは、あがたの「あ」の字も知りませんでした。中学生になって、冒険心から、「永遠の遠国」のベスト版CDを購入するも、さいしょは「ウー、なんだこの歌い方きもちわるー」でした(ヴァージンVSのボーカルと同じ人だとは気付かんかった)。きもちわるいのに何度もリピートしているうちに、すっかり虜に‥(はぁと)。初ライブは、「バンドネオンの豹と青猫」(タンゴ)の頃、高校生でした。そりゃあもう、緊張しました。お客さんが一斉にタンゴ踊りだしたらどうしたらいいのか。杞憂でしたけど。そして今に至ります

*2:そういえば高3時クラスメイトのAちゃんは知っていたけどAちゃんはライブハウス仲間だったので除外

*3:当時25歳くらい?のあがたさんがまるでミネタくんだねとヌマ先生。ミネタファンに殺されるよ?とビクビクしたけれど、ミネタファンも「似てるね!」と太鼓判を押してくれたのでよかった(なにが?

*4:ぜんぶ「永遠の遠国(二十世紀完結篇)」からじゃん!というのはさておき(でもまァ、一枚買うならこのアルバム、でしょうか。あまりにベストすぎて、さいしょにコレ買っちゃうと後がないよ(イヤ、あるけど)的心配も生まれますが)。「こういう他愛のない歌っていうのもいいものでネエ」(私のキリギリス)。

*5:思い浮かぶのは「雪山ブラザーズ」と「ハンマーキットショー」。もし、同じ夜にご同席した方いましたら、ともにあの日の辛苦をねぎらいあいましょう。押忍!

*6:授業で、「女性の強さはけっきょく母性‥」的発言をしたとき、思い当たったよ。わたしライブで何度も何度も、母性をためされた‥!(男性は父性をためされる)