花見のあいまに読んだ本

江戸へようこそ (ちくま文庫)

江戸へようこそ (ちくま文庫)

ひさしぶりに読んだら、あまりのかっこよさに、リアルに声を出してうなってしまった。この本を書いたときの日向子さんはまだ20代(!)。若さがほんのり気負わせるのか、背筋がシャン!としていてりりしくて、たいそうかっこいい(日向子さんのエッセイ(?)、作をすすめるにつれて段々文体がくだけていってしまって、あのリラックス感が好きな方もいるのでしょうが、わたしはこの作品のようにすこし思いつめたところをクールダウンさせるような感触が好き)。

私はまたノスタルジーも否定します。けっして昔に帰りたいというわけではないからです。いまを否定して、昔はこれだけよかったというような論旨の展開は稚拙ですし、片方を否定しなければ成立しないような「良さ」など求めてはいません。 
             −前口上 江戸へようこそ より−

ああ、なんってかっこいいの!江戸を愛しながらノスタルジーを完全否定。でも、今を愛せない人に、いつの時代を愛せるの。

私の漫画の場合も、時代ものと一応ひと括りに括られてしまうジャンルなんですけど、全然過去を描いてるという感じはしません。どっちかと言うと、近未来を描いているような、そんな気持ちで描いているのです。 
             −みちのく対談 江戸人のテレビ より(発言 杉浦日向子)−

ここの部分は、わたしが素敵な昔のものを見たときに、「うわ!かっこいい!未来のものみたい!」ってわくわくする気持ちと同じだなあ、と思い、それにしてもなんで、素敵なものを見たときに「未来のもの」みたいだって思っちゃうんだろう?昔に失礼じゃない?て考えたのだけど。ようするに、わたしは、未来はきっと素敵だよ、って無意識に、DNAレベルで、信じちゃっているのだろうなあ。おめでたい。(日向子さんも?それはよくわからないけど)