あんにょん由美香(2009) @ポレポレ東中野

 
「松江君、まだまだね。」
憧れの女優の言葉と残された1本のビデオテープ。
童貞。をプロデュース』の松江哲明が放つ
親和的ドキュメンタテインメント!

見る前から、ワー・キャー期待が高まっちゃって(めざましテレビの4位って!)、ちょっとまずいかもーと思ったけれど、期待をうわまわる素晴らしさだった。とてもよかった。終盤の「東京の人妻 純子」には、もう、だだ泣き。韓国製のB級?AVにこんなに泣かされるとは。由美香さんへの気持ちを、二人の共通言語である映画と映画愛で語ったところに胸が熱くなった。映画っていいなというよりも、語る言語を持っていることが、いいな。羨ましい。たぶんもう一度、もしかしたらもう二度観に行く*1
(以下内容に触れるので映画を見てから読んでください←映画見るが前提ですみません。でも見られる人は見たほうがいいんじゃないかなあ。おもしろいから)
ちいさい感想としては、由美香さんに対するコメントで、「若い頃から大人だったよな。たぶん3歳くらいからもう大人だったんだと思う」というのは、「いくらなんでも3歳は。」と思った。「外見は童顔で、雨に濡れた子犬みたいな表情もするけど、中身はおじさんだ」というのは吹いた(と同時に友達になれそうな気がした)(手ごわすぎて友達にはなれない気もした)。映画中で引用される映画を全然見ていない自分がもどかしかった。特に「由美香」は見ようかなあとチラシを見て、上映時間の長さに断念したのを覚えているので。見とけばよかった。そしたら由美香さんがこの世にいるうちから、注目していられたかもしれない。
それにしても韓国の監督さんのケンチャナヨ精神にはシビれた。いいなァ。
どんなことにもドラマがあり、人生があるのだということを、明るくポップに語る頼もしいようすがとてもよかった。(音楽というか歌もよかったー!)

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上映後のトークショーも感動的だった。この日のゲストは、この映画のスタート地点。たぶん日本でただひとり、「東京の人妻 純子」(この映画の発端となるビデオテープ)を持っている野平俊水さん(本業の大学教授とは別に、韓国から見た日本文化について研究をしている)。
「わたしがこのビデオのことを書いたときは、まさか背後にこんなせつないドラマがあるなんて思いもしなくて‥。いやまったくお恥ずかしい‥(野)」。いえいえ、ふつう、思いません。でも、あるんですねえ、ドラマが。人生が。それがやってくるのは、偶然なのか、必然なのか。(わたしは必然だと思う)
ピンク映画館について。「男の僕でもこわいときあるんで、行くことをお勧めしたりはできないんですけど(松)」「だから前を通ったときに、ポスターを確認するくらいでいいと思うんですけど(松)」「3本立てのうちの1本は、タイトルを新しくした旧作を“新作”扱いしたものなんですよね。だから、ほんとに、これからも新しく会うことが可能なんですよ‥(松)」。すげえなピンク。
「でも、映画館で映画を見ると、その映画だけじゃなくて一日の記憶として残るじゃないですか(松)」。
実はこの日は、めったに会えないお友達と映画を観たので。映画がおもしろかった記憶のよこに、映画の前に過ごしたたのしい時間がセットになって残っていたら、すごくしあわせだな!ウン、しあわせだ!ってお話を聞きながらテンションをグングンあげていったのでした。あああ映画っていいなあ、人生ってたのしいなあ(単純)*2

*1:客足が落ち着いた頃にひとりで行って思う存分泣きたい気持ちと、Kにも見せたい気持ちと

*2:この日もだけど、前夜祭の「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE vol.6」では、ポレポレでつねに中央線の妖精に遭遇した。妖精の横でAV見るなんて、めったにない体験