銭ゲバ(1970)/女囚701号 さそり(1972)

劇画≒映画(げきがニアイコールえいが) @シネマヴェーラ渋谷

銭ゲバ

1970年/カラー/監督:和田嘉訓
主演:唐十郎緑魔子、応蘭芳、加藤武岸田森、横山リエ
貧しさゆえに病気の母を失った蒲郡風太郎は、泥んこまみれのド畜生と呼ぶに相応しく、薄汚い金の亡者と化した。兄丸社長の車に体当たりしたことで兄丸家の下男として転がり込むことに成功した風太郎は、次々に一家の人間を手にかけていき…。「世の中銭ズラ!」「女が欲しいズラ!」格差社会の現代に甦る、エゴとエロを貫く極悪人・風太郎の悲しいまでの魂の叫びを聞け!

春に夢中でTVドラマ「銭ゲバ」を見ていたとき、何回か友達に、「悲惨な話っぽいけどどこがおもしろいの?」と聞かれて。そのたびに、一瞬言葉につまったのち、「松ケンが‘銭ズラ‥!’って言うところ」 なんて答えていたのだけれど。映画版は、ズラズラ言い過ぎ。主題歌が、もう、いきなり。「♪銭ゲバ、ガバ銭ゲバ♪」。アップテンポで腰がぬけるわ!ガバってなんなの‥(あ、主題歌中には、「ズラ」出てこないや)*1。なんていうの、蒲郡風太郎を松ケンが演じるからいいのであって、唐十郎、忠実に原作を体現していて、実にヤなかんじ(若干フットののんちゃん似)。衣装をあそこまで漫画っぽくする必要はないズラ‥(まっ黄色のシルクのスーツって。漫才師‥いいえ社長です)。しかも憧れのお嬢様が緑魔子‥。お嬢様なのに世の中を見透かしすぎている。つーかキャストがアングラすぎるだろう。オープニングクレジットに鈴木いづみの名前がありびっくり。全然知らなかった。一瞬だけだったら見逃しちゃうかもー‥と緊張したのだけど、しっかり出ていた脱いでいた。まじで胸でかい‥。完全に女優然としていて迫力。ウワア‥。しかしますますアングラ感が増したな。風太郎の心の叫び、黒い画面に字幕でぽっつり。「銭ズラ!」「女が欲しいズラ」、「生まれてこなければよかったズラ!」。おお‥、おそろしい(涙目)。もちろん救いはありません。

女囚701号さそり [DVD]

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銭ゲバで陰惨なきもちになったところをさそりに救ってもらう。さそりには今までに何度も救われている。
梶芽衣子がほんっとうに美しくかっこいい。漫画原作の映画化はこうでなくっちゃあなB級感と、キャラクターへの愛がすごい。気がする(すみません漫画読んでいないのにてきとう言いました)。とにかく美しくかっこいいんだよー。
水野美紀でリメイクするそうだけど‥。梶芽衣子の素晴らしいところは、見せるところは見せている。ということを、わかっているのか。(セクシーが見たいわけではなくて、周囲との脱ぎのバランスが悪いと、なんか冷めるので。主役が脱がないなら脇にも必然性なく脱がせるな、と言いたい)

*1:銭ゲバ ガバ銭ゲバ 銭ゲバ ガバ銭ゲバ 聖徳太子の昔から銭の嫌いな奴はない そんならおいらも銭ゲバだ 銭だい 銭だい 銭ゲバだい 銭ゲバ 銭ゲバ 銭銭銭銭銭銭ゲバ 銭ゲバ 銭ゲバ(略) 生まれてこなかった方がよかったズラ!