小さなお茶会
ガラス壜日記を書いたとき(→☆)に、「あき瓶の話は文庫版に収録されていたかしら‥」と気になったので、実家で確認したところ、未掲載でした。7冊の単行本を1冊の文庫に編集するのだから無理もないけど、文庫版は大作ばかりを収録して、日々のささやかな営みの回が少ないので面白みが少なくもったいないです。日常あっての非日常なのに。
わたしのような思いを持つ者は多かったようで、最近(?)完全版が出版されたようです。めでたい。興味のある方はぜひ手にとって読んでみてほしいです。(1冊が980円とちと高い&全4巻みたいだけど、単行本サイズじゃなくて大型本なのかしら。単行本だと、あき瓶の話は2巻に収録されているのだけど、完全版だとどうなるのかしら。1巻か2巻だろうけど。‥まあいいや名作なので全巻そろえて悔いなしってことで)
- 作者: 猫十字社
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2004/03/26
- メディア: 単行本
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主人公が猫なのは、‥これが人間の姿だったら理想的すぎて素直に読めないスイートさ・正しさだからなのだろうなあ。そう気付いたのは、会社に入ってから漫画好きの友人にこの漫画を貸したところ、その子から「こんなまやかしの生活!!」とすごい剣幕で本を返されたとき。あまりに理想郷のような暮らしぶりが、彼女の黒琴線を刺激したらしい。大好きな漫画を否定されてかなしい気持ちもあったけど、それよりなにより「まやかしの生活!!」という激しい拒絶反応をおこす彼女の正直さに(半泣きになりながら)好感をもちました。まあね‥。でもわたしはほんと、ぷりんさんみたいな奥さんになりたかったです。旦那さんがいないと夜がこわくて眠れないようなかわいい奥さんに。なりたかったです。わたしは旦那さんがいないとわーい!って名画座のスケジュールをチェックする奥さんですからね‥。けけけ。
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前置きが長くなったけれど、あきビンの回はこんなかんじ。ぷりん奥さんのモノローグ部分を引用しました(句読点や改行はわたしが勝手に入れました。一部ひらがなを漢字にも直しました。漫画のモノローグと文章だけの引用じゃ、かなり視覚的に違うのね‥)。興味を持たれた方は、ぜひ漫画本編を手に取ってください。
わたしはびんが好き。どんなびんもたいてい好きだけど、ジャムの空きびんやキャンデーの入っていたびんは、なにもなくなったあとがとてもまるい。こういうびんの中にはなにかしら期待に満ちたまなざしがあって、なにをしまっておくという目的はないけれど捨てられません。
落とせばこわれてしまう もろくて光をやすやすと通すびんに、大切な「ことばにならないもの」をひとつずつ 詰めてしまっておくの。誰にも言ってないのだけれど。
もっぷがなにか言いたげなのがわかる。それを感じる。感じるだけでしかないんだけど 言葉にはしないほうがいい。だって「その感じ」は言葉にならない。わたしのかんちがいじゃないでしょう? ね?
こういうときをつめこんだびんがまたひとつふえて、いつかあの山ほどのびんをあなたにみつけられたら。そのときはひとつひとつふたをとって見せたげる。あなたにはからのびんの中になにが入ってるかわかる。わたし それを信じてる。