ウフィツィ美術館自画像コレクション @損保ジャパン東郷青児美術館

  
1664年に「自画像コレクション」を創始したトスカーナ大公の弟レオポルド・デ・メディチは、自画像が芸術家のスタイル・芸術館・世界観・自意識などのすべてを内包していると考えました。以後、代々の統治者の努力によって「自画像コレクション」は西洋美術家の総カタログともいうべきコレクションに成長。まさに「美術家の殿堂」として、各国の目をフィレンツェに向けさせる文化戦略の象徴となりました。現在も続けられる収集活動の結果、コレクション総点数は1,700点以上に達しています。それぞれの美術家が自己申告した相貌とじっくり対話していくうちに、芸術の都フィレンツェの歴史と、400年以上にわたる西洋美術の広がりが見えてくる展覧会です。(→HP

ええとわたくし、ウフィツィ美術館メディチ家も、ましては自画像コレクションなどは到底存じておりませんでした。お金持ちっておもしろいこと考えるのね。でも「自画像」ってふつうの絵より、画家の人となり‥自分を見る目・自己申告が大きくなるから‥、厄介というかツッコミどころ満載になりそう。などと思うわたしの下世話な想像は、そう遠くもなかったようで。自画像のなかに自分の知性や育ちをアピールするアイテムをこれみよがしに書いたり、無名な画家が自画像を寄贈したり、いろいろいろいろあった様子。人間のすることっておもしろいなあ。90歳の画家が、自分の皺を粘着気質でグロテスクに描いたり、70歳のシャガールが、皺ひとつない青年のような画を描いたり、絵ってどうとでも。どう見ても稚拙なのにみょうに惹きつけられる画があったり、いろいろ興味深い展覧会でした。チラシに使われている『マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ル・ブラン』の中のマリー・アントワネットの下絵がどう見ても悪女顔(ていうか自画像の半分も美人じゃない)で、革命後に描いたのねーとか(1790年てなまなましい!)‥。おもにくだらない方面をたのしんでしまったのは、教養不足で、画家および美術史に明るくないからでしょう。今回の展示をきっかけにウフィツィ美術館自画像に贈られるという日本画家3名(草間彌生杉本博司横尾忠則)の画はおもしろかったもの。頑張れ、自分。

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しかしこの東郷青児美術館のほんとうの見所は、常設展のゴッホのひまわりと、新宿の42階から見る景色*1だと思うわたしは、これまた教養不足。

*1:こんな高い場所に美術館が必要だろうかといつも懐疑的になる。でもサンシャインの水族館は好きなんだよな‥