南桂子生誕100年記念展 きのう小鳥にきいたこと @ミュゼ浜口陽三ヤマサコレクション

 南桂子生誕100年記念展(2011.1.8〜3.21)
  
南桂子(1911 〜 2004)は、富山県に生まれ、戦後になってパリとサンフランシスコで活躍した銅版画作家です。鳥、樹、少女などをモチーフにした作品は、ニューヨーク近代美術館ユニセフのカードに採用され、世界中の人々に愛されてきました。生誕100年を記念する本展では、三人の詩人のご協力を得ました。南桂子と交流のあった谷川俊太郎氏の詩数篇を銅版画と並べるほか、若くして詩人として活躍中の、蜂飼耳氏、文月悠光氏のお二人には、それぞれが選んだ南作品にあわせて新作を書き下ろしていただきました。心の奥へ、記憶の彼方へといざなう魅力的な銅版画が、現代の詩と世代をこえて、時には朗らかに、時にはせつなく、響き合います。
このほか今回は、スケッチブックから南桂子の抽象画を初公開するのをはじめ、70年代に制作した作品集、装画類、本人が作集に掲載しようと思っていた幻の作品画像、本人の作業机などを展示します。銅版画、油彩、ドローイングと合わせて約60 点の構成です。
南桂子の豊かな才能と画業を発見するきっかけになれば幸いです。 (→HP

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階段をおりて地下1階、薄暗がりの、しずかな・ちいさな部屋で見る南桂子の版画は、潔癖そうな硬い線で語られるメルヘン、ささやかなよろこびに満ちていて、とても素敵でした。(この小さな美術館にはよい気が満ちているようで、1階の雰囲気もよかったのだけど、地下の部屋のひっそり感は独特でよかった) 今回のこの企画は、詩人とコラボさせて、絵の横に詩を置く(コーナーがある)ーというものなのですが、南桂子の絵の余白に、詩は、とても似合うように思いました。あらためて谷川俊太郎てすごいな!とも思いました。
カフェに展示オリジナルクッキーがあったり、かわいい刺繍リネントートがあったり(わたしが森Gなら即買と思った。かわいい)(そして南桂子の絵のタッチがほんとに刺繍のステッチのようなので、ナイス商品化!と思った)、細部まで愛がこもっているのも居心地よいです。3/21までとながめの展示なのでおすすめです。
生誕100年記念展での全国巡回にさきがけた展覧会ということで、東京まで来られない方も、日本各地でたのしみにしていてください。

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ちなみにこの展覧会を知ったのは、一月にでかけた八王子市夢美術館でポスターを見て。夢美術館‥。お姫さま(高橋真琴)の展示は見送り、妖怪(水木しげる)の展示にはいそいそでかけていく女、それがわたし‥としみじみしました。