横井弘三展 わが家のよこいさ〜ん @竹風堂大門ホール

第四回 横井弘三展  わが家のよこいさ〜ん @竹風堂大門ホール
  
飯田市に生まれ幼少時に東京に移住。早稲田大学を中退し油絵を独学。26才で彗星の如く中央画壇に登場し大賞を総なめにした横井は、“日本のアンリ・ルソー”と絶賛される。
1944(昭和19)年、55才の横井は長野市疎開。晩年の約20年間は、多くの支援者を得て精力的に作画した。白ひげを蓄え、ズックのカバンを肩にかけてひょうひょうと善光寺界隈を散策する横井弘三。そんな姿を見て「聖者」を連想した人も多いと聞く。
1965(昭和60)年、終の棲家、南県町の「裾花館」で永眠。まもなく没後半世紀を迎えます。  −主催 横井弘三とオモチャン会(→☆

長野に来たのは、この、横井弘三展に行くため。過去日記に「長野で展覧会やりますよ」のコメントをいただいたとき、ちょうど、ひとりでちょっと遠いところに行きたい気分だったのと、会場が善光寺のそばらしいので、善光寺なら一昨年行ったばかりだから行けるな、と。
多目的ホールの壁いっぱいに横井さんの絵。はじめて見る絵ばかりだけれど、このひとの絵って‥。ほんとに玉石混淆な気がする。これいいなあおもしろいなあと細部まで深部まで眺めたくなる絵と、ただの稚拙な絵に見えて興味をひかれない絵と、自分のなかではっきり分かれる。これが気分の問題なのかどうかはまだよくわからない。今回展示されている絵が、ひとに贈った絵が多いので、風景画とか肖像画とか、わたしの好きなジャンルではないので、そんなふうに感じてしまうのかも(童画みたいのが少なくて、わたしの感じたいダイナミズムが薄かった)。自身で考案した焼き絵の効果はおもしろいけど‥。ちょっぴり釈然としないきもちで会場をまわっていたところ、最後に飾ってある二枚の絵に、足をとめられ心をつかまれた。ひとつは焼き絵を使った自画像で、もうひとつは油絵に、割った貝ボタンを貼り付けた裸婦の絵。なんだろうあのほんもの感。絵のなかに、絵に対する情熱だとか葛藤だとか尊厳が見えた気がします。長野まで来た甲斐があった‥。
少しだけ、主催のオモチャン会の方にお話を伺いました。横井さんに対する愛情と造詣が深く、横井さんはしあわせ者だなあ(この展示のパンフレット小冊子が感動的。よこいさんマップがあるので、次に来たときはこれをもとにあちこちめぐりたい)。横井弘三展はいまのところ、一年に一度テーマを決めて(去年だか一昨年には童画をテーマにされたそう。それ見たかった‥!)開催されているそう。毎年行ける自信はないけれど、また足をはこびたい*1。まだ素敵な絵がいっぱいあるような気がするもん。

*1:巡回してくれてもよいのだが