乙女と衝動
方向音痴かつものぐさのわたしは、ひとりで遠いところに行ける気がしない。先月の遠出・善光寺付近(横井弘三の絵を観に行きました)には2年前に訪れたばかりだし、唯一のひとり一泊の大阪遠征(楳図かずおとみうらじゅんのトークショーを聞きに行きました)の記録も、以前行っていたところをなぞったものだし。正直言って今後も、よっぽどのことがなければひとりで未開の土地には行けない気がする。へたれ。
そんなわけで、女子ひとり遠出には、興味しんしんあこがれわくわく。同行してくれたおふたり*1に、記録を聞いてみました。
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理知的なSさんは、以前「もっと美術展に足を運ぶことにしよう」と心に誓い、三重の美術館に日帰りをくわだてたそうだ。新幹線で三重。行って帰って日が暮れて、観光をする時間はなかったそうだ。そんな強行スケジュールがたたったのか、遠征はこれ一度で終わったとか。
「でもそういえば、もっと昔に、純情クレイジーフルーツが好きすぎて、漫画にでてきた九州修学旅行の日程をなぞったことがあります(もちろんひとりで)」。 なんだオイ、すごい隠し玉でてきたな‥!
純クレを追いかけることのなにがすごいって、普段の漫画の舞台は東京で、東京生まれ東京育ちのSさんが、なぜ九州まで追いかける? っていう。東京での舞台設定がぼやかしてあるとはいえ‥(しかもSさんは、丸ノ内女学園の舞台はあのへんだと思う、と検討をつけていた)。でもそれを言ったら、Sさんのフェイバリット漫画が純クレというのも意外だし。なんというか、ひとって宇宙だわ。::
ふんわかしたEさんは、普段からあちこちあれこれ活動的な印象があるものの、おともだちが多いせいか、ひとり旅は一度だけだそう。
宮沢賢治の生誕○○年の年に(2006年の生誕110年かな?)、イーハトーブめぐり。2泊3日と言っていたかな?レンタサイクルが出払っていて3時間歩いたとか(往路のみ。帰りはヒッチハイクというか通りがかりの車が乗せてくれたらしい。つまり6時間歩く覚悟だった)、緊張して宿の食べ物がノドを通らず、かといってこんなに残すのは申し訳ない‥と意味なくおかずをタッパーに保存したこと。イーハトーブめぐりはたのしかった、と言いつつ、なんか、たいへんじゃん(汗)。
ぷぷぷぷぷ。どいつもこいつもおもしろいなあ(尊敬)。
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おもしろついでに、わたしの好きな衝動話。会社の後輩Mちゃんは、当時大のビーズ(稲葉)ファンだった。ある全国ツアーの最中に、いま稲葉さんは大阪にいるのねと思うと矢も縦もたまらず、新幹線で大阪まで行ってしまった。しかし大阪でも当然チケットはソールドアウト。当日券などでるわけがなく、Mちゃんはコンサート会場に入れなかったが、「いま、わたしは稲葉さんと同じ大阪の空気を吸っている‥」 そう思えるだけで満足だったそうだ。
乙女心ってこわいねって思うか、衝動にも財力は必要とうなるか、乙女心ってビジネスになるんじゃない?と思うか、ただただ「すごいな」と感心するかは、あなたのお好きなようにしてくれ。
(ちなみにMちゃんは、「保母さんになる」と言って数年前に会社を辞めてしまった。今頃なにをしてるやら。保母か)
*1:とてもたのしい遠征になりました。大感謝です。感動をその場で話せるっていいな。共有?わたしが死んでもあのひとたちのこころに感動が残っているはずみたいな。ちがうか