ミロコマチコ絵本原画展「きいろいたいよう」@イルフ童画館

ミロコマチコ絵本原画展「きいろいたいよう」 2015年7月10日 (金) 〜 9月14日 (月)

オレときいろ

オレときいろ

画面いっぱいに広がるきいろ、きいろ、きいろ…!!
ミロコマチコさん最新作の『オレときいろ』は、そんなまぶしいくらいエネルギーに満ち満ちた作品です。印刷された絵本でもまばゆいほどですが、原画となると、その勢いはとどまることを知りません。
『オオカミがとぶひ』で鮮烈にデビューしたミロコさんは、動植物を生き生きと描き続けています。本展ではそんな魅力たっぷりな動物たちが大集合!『オレときいろ』、『オオカミがとぶひ』、『てつぞうはね』、『ぼくのふとんはうみでできている』、初公開となる『サバンナの動物親子に学ぶ』挿絵原画も展示いたします。さらに、伊勢丹新宿店のディスプレイで制作された、迫力の立体作品も登場します。
ぜひ、「きいろいたいよう」を体いっぱいにあびて、この夏を楽しんでください。(→イルフ童画館HP

オオカミがとぶひ (こどもプレス)

オオカミがとぶひ (こどもプレス)

ぼくのふとんはうみでできている

ぼくのふとんはうみでできている

てつぞうはね

てつぞうはね

ばーんと広がるイキオイのある色に筆使い*1にきもちよく圧倒されました。圧倒されながらきもちよく降参して、ふふふって機嫌よくなったり、少し泣いたり。心細くなったり、もし怒らなくちゃいけないときにはしっかり怒ろうって思ったり。きいろいたいようを心にもあびて、今年の夏は元気に過ごせそう。

【ミロコマチコ×羽仁進トークイベント】動物はかしこい 
「ミロコマチコ絵本原画展きいろいたいよう」で出品中の『サバンナの動物親子に学ぶ』。著者の羽仁進さんと挿画を担当したミロコマチコさんのトークイベントを8/1(土)14:00より開催します。テーマは「動物はかしこい」。ドキュメンタリーで野生動物を追い続けた羽仁さんと愛猫と暮らし、動物の魅力を描きつづけるミロコさんからいったいどんなお話がきけるのでしょうか…。どうぞお楽しみに!

サバンナの動物親子に学ぶ

サバンナの動物親子に学ぶ

このミロコマチコ展には「行こう行かなきゃ」と思っていたのですが、どうせ行くならなにかイベントのときに行きたいなと思い。うかがったこのトークショーがめっぽう面白かったでした。
大半は、この本についてだったのですが、司会進行役の童画館のスタッフさんが「動物も賢いんですねえ」みたいな相槌をうちかけると、「いいえ、動物こそ賢いんですよ」とやんわり優しく訂正される羽仁さんがとても印象的でした。動物のカリスマ‥。
羽仁進さんは映画監督・文筆家なのですが今年86歳になられるそうで。「いつ死んじゃうかわからないから好きにさせてよ〜」ってスタンスは卑怯!卑怯なほど天衣無縫っていうか。だから自分が持ってるおもしろい話なるべくたくさん今日しゃべっておきます!みたいなサービス精神炸裂で、ときに司会の方の質問そっちのけでお話されるので笑いつつはらはらしたり‥。それを微笑みながら見守るミロコさん、聖母のようでした。すごくいいコンビ〜。と思ったけれど、おふたりがお会いするのはこの日がはじめてとのことで。びっくり!なんて素敵な場に遭遇できたんだ‥。
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【羽仁さんのお話で印象深かったこと】
こどもの頃自宅でオオサンショウウオを飼っていたこと。その頃はまだ天然保護生物ではなく、ペットに出来たんだそう。ある日親戚の方?からオオサンショウウオが送られてきて、水槽で飼っていた。ある日羽仁少年(当時7歳くらい)がそのオオサンショウウオを眺めながら、「かわいいけどこの水槽では狭いだろうなあ、もう少し広いところで遊ばせたいなあ。‥そうだ、近所のなんとかさんのお庭の池で遊ばせたらどうだろう。それはいいぞ」と考えていると、その考えがオオサンショウウオに通じたらしく、オオサンショウウオが羽仁少年をみつめ、水槽をよじのぼり、羽仁少年の首元にしがみつくような格好をしたそうです。よーしと思った羽仁少年は、自分より重いんじゃないかというオオサンショウウオを抱き上げ、ひとりだったら5分の道のりを20分かけて歩き、そのお宅の庭でオオサンショウウオを遊ばせることに成功。オオサンショウウオは遊び疲れると?また少年のところに戻ってくるのだそう。そんなオオサンショウウオの散歩?は週1くらいのペースで続いたそう。
両生類とそんなに心が通じ合えるなんて、おそるべし羽仁少年‥。(わたしも近所の猫を説得したことあるけど、あれは哺乳類同士だから「そんなこともある」だろうしなあ。両生類相手はほんとすごい。偉業。リスペクト!)
ところで皆さんご存知でした?羽仁さんのお祖母様は自由学園創立者だってこと。自由学園て聞いたことある〜なんてぼんやり思っていたら、明日館のことではないですか。す、すごいお方でしたのね(左幸子と結婚してらしたこと、日記書こうとキーワード見てはじめて知りました。ほんとにすごい方だったんだな〜。ううむ‥)。フランク・ロイドのことを、「この人は素晴らしいものをつくるんだけど、いい男だったもので、発注者の奥さんと恋仲になって逃げちゃったことがあるのね。それで、いいものをつくるんだけど誰もものを頼まなくなっちゃって。それで帝国ホテルとか自由学園とか、公共物が多くなったんですよ」って目からウロコ‥。ひとってひとからお話聞くのっておもしろいな〜。
お母様がコドモノクニに関わってらした関係で、生前の武井武雄にお会いしたことがあるのだそうですが、「会ったといっても年が30近く離れていて、当時のわたしはまだこどもだったから(特にお話し出来ることはありません)‥」イルフ童画館でのトークショーだからここに色をつけて話すことだって出来るのに、なんて欲のないドーブツじみた方なんだ‥(二度目のリスペクト)。
羽仁さんは、「今86歳なんで、たぶん今作ってるのがわたしの最後の映画」とアフリカの映画をまた作られているそうで。映画のなかのアフリカの風景がとても美しい、と言われ、「いやあ実物はもっとすごいんですよ」ってほんとにもう‥。それは心して観なくては‥!
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この本の挿絵をミロコさんが描くようになった経緯は、まったくの偶然のような必然のような。
編集の方がデザインフェスでミロコさんの絵に出会い、感銘を受け。ご自身で絵を買いつついつかこの人にちゃんとした絵の仕事を頼みたい、と気持ちをあたためていたところにこの本の話があり。ミロコさんにとってははじめての大きな仕事だったのだそう。この後ミロコさんは立て続けに賞をお獲りになり、ぐんと注目があがりお忙しくなったので、今となっては奇跡みたいに贅沢な描き方をしてもらったそう(特にどの場面の絵という指定がないかわりに、たくさんラフを描いてもらったとか)。
「でも、この絵を描いている頃あの震災があって。東京にいるのがこわくなって大阪に戻ったりバタバタして全然絵が描けなかったんです。電話して、すみません混乱しちゃって絵が描けません、間に合いませんってお詫びして。そうしたら、大丈夫、こっち(編集部)も混乱してるから、って言っていただいて。でもやっぱり心細くて、暗い部屋でこわがりながら絵を描いた思い出です」みたいにおっしゃっていたのかな‥。たしかに他の展示作品と比べると少し絵がかたいというか、のびのび度が低く見えるけど、初期の絵であること・他人の文章に絵を添えていることが理由なのかと思っていたので感慨深いでした。そんな暗い部屋からアフリカのことを考えて描かれた絵だったのね‥。
トークショーのはじめに、この本からの朗読もありました。朗読箇所は「子を殺された母ライオンの怒りと悲しみ」「ライオンとバッファローの戦い」でした。ミロコさんに特に印象深かった箇所を選んでいただいたそうです。この本すごく面白かったのでぜひ読まれるといいと思います。こどもさんが読んでも面白いだろうけど、大人になると、だいたい日々を自分の考えや常識で見聞きして過ごすじゃないですか。知らずのうちに自分のフィルターでしか見ないじゃないですか。そのフィルターをバーンと取り払ってくれるのがきもちいいんですー。この本すごく好き。何度も読み返したい。出逢わせてくれてありがとうイルフ童画館‥(二回目))

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【ミロコさんのお話で印象深かったこと。てつぞうとの出会いについて】

てつぞうはね

てつぞうはね

当時、ペットショップの前を歩いて通勤していたそうで。ある日ペットショップにやってきたかわいい仔猫が、日が経つにつれてどんどん値段が下がっていくことに気付きはらはらして、ああ、また値下がり‥。また値下がり‥。このまま下がったらどうなっちゃうんだろう、と胸を痛め、「大特価」と書かれだした日に覚悟をきめてちょっと抱かせてもらったらもうダメで、そのまま家につれ帰ってしまったけれど、その日まで、自分が猫を飼うことになるとはまったく考えてなかったそう。ふふ‥そういう人ほど猫の魔力にころりと降参してしまうんです。
てつぞうが亡くなってしまって心の混乱はあったものの、やっぱり猫のいる暮らしがいいなあと覚悟を決め、知人に「不幸な猫がいたらひきとらせてほしい」とお願いしたら二日後に(!)その人の家に迷子の猫がやってきたとの連絡が入り。運命を感じ暮らすことになったソトとボウのこと。ソトとボウは兄弟だけれど全然性格が違うこと。やばい‥。愛猫の話ってずっと聞いていたい!耳と心にすごくしあわせ感。
現在ミロコさんは恐竜の絵本を描かれているそうで。昔から形状の変わらない生き物がお好きなんだそう。「あと、恐竜は誰も見たことがないじゃないですか。羽仁さんだって、武井武雄さんに会われたことはあっても恐竜はないですよね? 誰も見たことのない大きなものを描けるのがたのしみなんです! 」。それは、わたしどもも見るのがたのしみです!

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ミュージアムショップを見ていてすごくドキンとする新グッズ発見。こ・これは‥!


刊本作品をモチーフにしたメッセージカードなのですが、この再現性。す・すごい!どうやら手法も再現されている様子。すごい、ものすごい!4作品から2パターンずつあったのかな?もっとあったかも‥。心の栄養はなぜ目の毒財布の敵なのか、と思ってよく確認できず。とりあえず自分で刊本を所有させてもらっている『花園の気流』と『鳥遣いの乙女』から悩みに悩んで1種類購入。
(いま考えると、高価と言っても千円程度なのだから、YOU、2種とも買っちゃいなよ!って思うけど。そのときは、ここでわたしが踏ん張らねば誰が踏ん張る!8月は始まったばかりなんだから!夏休みの小遣いが減っちゃうぞ!と踏ん張るモードだったのです。うーむ、どちらの言い分も正しいよ。とほほ)(すでに羽仁進×ミロコマチコの書籍と、ヌーベル梅林堂とイルフ童画館のコラボ缶を購入した後だったせいもある。でもでもでもまだまだ欲しいものいっぱいあったので、ここでふんばらねば堰を切ったように物欲が噴火するって思ったんです。ええ‥)
素敵だな〜。素敵だよ〜。素敵だな〜。素敵だよ。うっとりしちゃうな。この日晴れてイルフ童画館の年会員になったわたし*2、これからは入館料がかからないぶんミュージアムショップでお財布開かせていただきます!
現在イルフ童画館ではさらに素敵なミュージアムグッズを製作中だそう。震えて待つ‥!

*1:ミロコさんの喋る姿を拝見した後だったので、あのぽとりぽとり喋る方がこんなうおーって文章や絵を描かれるのねーってイイゾイイゾな気持にもなりました

*2:イルフ童画館で開催される企画展は、わたしが武井武雄好きということを差し引いても素晴らしいものが多く。昨年度は「キラキラをえがいたふたり 武井武雄初山滋展」と「チェブラーシカの絵本原画展」と「宇野亞喜良 絵本原画展」と「武井武雄 生誕120年記念展」でお邪魔させていただき‥。自分でも「行き過ぎ‥」と思いますが(ひく?ひかないで?)今年も秋に茂田井武雄展がひかえているんだもん!イルフ、まじでおそろしい子‥