5月6日の日記

日記を書きたいなと思いつつ、日記の書きかたを忘れたまま思い出せない。忘れてしまって‥くちずさんでる‥。くちずさめると、いいのだけれど。

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去年、長年勤めた会社を辞めました。長く務めたので1年くらいはのんびりしようと、2019年はひたすらのんびりして。そろそろ就職活動でもするべと思ったところに不穏な気配がやってきた。働かないとお給料が発生しないので金銭的には困るのですが、もし自分がまだ勤めていたならば。満員電車に乗り続け*1、仕事で扱うデータからして家への持ち込みは不可能で*2、おそらく上司だけはいち早く逃避を決め込み、ウィルスで死ぬかストレスで死ぬかどちらが先だろう、と暗澹としていたことが想像され‥(たぶん、辞めた職場ではわたしのこと、すごくいいタイミングで辞めたなと思ってそう)。話がずれました。とにかく去年からおうち時間および地元時間がとても増えていたということが言いたいのです。

(今日はスーパーマーケットについての?日記)

徒歩圏内にスーパーマーケットは6軒。「野菜や果物が安いけれど箱買いになるので我が家にはちょっと」とか、「とにかく安い!安いけど19時閉店だから勤めているときには全然行けなかったなあ」とか、「ここも安い!でも品ぞろえがいまいち」とか、「気の利いたものが置いてあるし、たいていのものは美味しい。安くはないけど15時から割引が始まる」とか‥。どのスーパーにもいいところ・わるいところがあり、それぞれ価格設定が違うので(値引きできるものにチェーン色が出るの?)、お散歩を兼ねて2,3軒をハシゴするのが今までの日課でした。

そんなある日(ウィルスが来る前)、いちばん近所のスーパーで会計時、複数あるレジの列をぼんやり眺め、‥並んでいる客数はどこも同じだったので、並んでいるお客さんの買い物カゴの中(ボリューム)をかるくチェックして、早く順番が回ってきそうなところに並びました。ところがこの目算が間違っていたようで、両隣のレジにどんどんぬかれる。ちぇー、しくじった。このレジの人、新人さんだったのかな?そう思ったけれど、むしろベテランさんで、買い物をする顔なじみのお客さんと世間話を交わしていたのだった。

「あら、久しぶり!元気にしてたの?」「久しぶりなのはアンタのほうだよ。俺は今までどおり、2日に1度は来てたんだから」「あら、そうなの?じゃあタイミングが悪かったのね!よかったわ元気で」「アンタも元気でな」

お会計の後にこうやって世間話をしてたから順番が回ってくるのが遅かったのか‥。このレジに並ぶおじ(い)さんたち*3は、このレジの人と会話がしたくて、わざわざここに並んでいるんだ。美容師さんを指名するような感覚かしら。おお、新世界。そしてピンチ。何も知らずに丸腰でこのレジに並んでしまった。あせるわたしをよそにレジのおばさまは、特に顔なじみではないわたしには普通に愛想よく対応するだけで、すぐに会計は終わった‥。*4 

「今まで考えたこともなかったけど、スーパーマーケットも社交場になりうるんだな‥」と妙に学んだ気持ちで帰りました。

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ウィルスでスーパーマーケットの様子も変わり、「ごめんなさい、しばらくはレジ係がお客様のエコバッグに手を触れるのは禁止なの」。*5 

あのおばさまもお会計のときの私語禁止になったんだろうな、という前に最近は姿を見ないけど‥。週に2回くらいしか行かなくなったし、タイミングがずれているのかな。ウィルスがこわいからしばらくは休むことにしたのかな。あのスーパーでクレームをつけているお客さんとかを見たことはないけれど。自分がスーパーのレジで働いていたら、しばらくは休みたい(いっそ辞めてしまいたい)と思うかもな‥。でも自分が休むと周りに迷惑かけちゃう、なんて悩んじゃうかもしれない‥。いま、働いている人は、そういう「周囲に迷惑をかけちゃいけない」って考える責任感の強い人かもな。自分も会社を辞めるとき、それすごく考えたし‥。でもその責任感、、、、ときには捨てちゃってほしい、、、。自分のこころとからだの安全を選んでも、誰も怒らないから。誰かが怒っても、耳をかさなくていいし。(オチとかないです。ただの日記だから)

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 陸奥A子先生の作品に、『薔薇の理由』という短編があります。(2008年に雑誌「YOU」に発表し、単行本「ハートの惑星」に収録)。

描かれる世界のささやかな充実ぶりがとてもいいのです。主人公の女性は、53歳独身・現在恋の気配なし。物語の軸になるのは、愛用のスーパーのレジの女性店員とのやりとり。ほんとにささやかでしょう?初めて読んだとき、うれしくなって笑ってしまった。でも、とても、ぐっとくるのです。素敵をみつけること。ほかの誰かを知りたいと思うこと。お互いを独立した個だと尊重すること。あたりまえで大切なこと。未読のかたはぜひ。

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*1:もともと満員電車が苦手なので早起きして途中駅からでも始発電車に乗り、せめて座って(寝たまま)通勤するなど、思えば自分の会社員生活は満員電車を避ける闘いであった‥

*2:平社員にこんなことさせる?という業務が回ってきたのも退職ビンゴであった

*3:この日はみごとにこのレジ、男性客ばかりだった‥。晩年をおじいさんのアイドルとして生きるというのもアリかもな、なんてぼんやり考えたりもした

*4:別の日には、前のお客さんとの会話が長引いてしまったお詫びにサービス券をくれました

*5:まぁ逆に、今までレジ係さんに甘えすぎでは、お母さんじゃないんだからよ、とも思うけど‥