そんな無茶な!

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井口昇監督の「おばあちゃんキス」が観たくてでかけたのだけれど、4編どれもまんべんなくおもしろかった。チラシには「健全な映画を観たい方はご遠慮ください」とあるけれど、実に健全な映画たちじゃないかしら。おもしろかった!長くなるのでたたみます。
無茶その1:全裸女性歌手のドキュメンタリーを撮りたい!【彼女が歌う理由】。どきどきフェイクドキュメンタリー。この女の人、こういう困った人の演技巧いなあ‥。しかも全裸て。ラストもくだらなくていい。
無茶その2:おばあちゃん同士の純愛を撮りたい!【おばあちゃんキス】。かわいいのと悪趣味がぐちゃぐちゃに溶け合ってて大充実。いいなー・いやだなー。井口監督がブログで、「なんでみんなおばあちゃんを女性として見ないんだっ!」と憤りをつづっているのを読んで、「ウーンまだおばあちゃんじゃないからおばあちゃん本人がどう思ってるのかはわかんないけど‥。女子が、“少女の次は(女をすっとばして)おばあちゃんになりたい”なんていうのは、男性から性対象として見られるのがイヤだからじゃないかしら。おばあちゃんになってまで、女性として見られたくはないんじゃないかしら。どうかしら」なんて少し心配していたのだけれど。その心配は要らなかった。井口監督はほんとにメンタルが乙女*1‥(「おみやげ買うのが大好き!」って)。男でいながらの乙女心というのが、すごく客観的な少女漫画世界を創り上げていて。この箱庭好きだわ。しかしおばあちゃん役者さん、よくやりきった‥。すばらしい‥。
無茶その3:原作者自らの監督・主演で「東京ゾンビ」をリメイクしたい!【東京ゾンビ外伝】。花くまゆうさく監督主演*2ということで、(花くま漫画は好きなんだけど)漫画家のお遊び的なものを見せられる覚悟をしていた(失礼だし)のだけれど、そんなこと全然ないない、すごくしっかりした映画でびっくりした。実ははじまってスグ、主題歌が古井戸って時点でこころを持っていかれた。よかった。しみじみほのぼのじんとした。バイオレンスシーン(ピノキオ)はほんとにグロかった。ぐえ。
無茶その4:制作費を全額宝くじにつっこみたい!【アブコヤワ】。「衝撃のラスト」みたいなことを聞いていたので、これがそうかあおおなるほど‥きらいじゃないけど若気の至り(むしろ好きだけど。)、でもううむ‥むう。ラストはうなりました。今日のトークゲストがこの映画を撮った真利子哲也監督だったので、あれこれ補充するような話を聞いて、それでだいぶ納得できたけど。でもほんとはトークじゃなくて画面上でそれを伝えてくれなくちゃダメなんじゃ。でもそういう無茶ふくめておもしろかった。「映画じゃなきゃできないこと」を見せてもらったし。
(以下、トークショーの内容おぼえがき。映画の結末にふれています)
まず、自分はお金持ちの息子とかではないです、この映画を撮ったときは家賃3万円の風呂なしアパートに住んでました(ここ大事だ‥。それが画面にでるべきだったと思う‥)。お金の使い道については、はじめに百万円全部宝くじを買うほうが無駄使いで、最後のほうが、映画を完成させるための、夢のある使い道だと思っている(そういえば決めていたからか、行動に迷いがないかんじだったよね‥)(でもこのラストは、観た人には賛否両論というか、否がけっこう多かったそう。井口監督にもすごい否定?されたとか。このラストに怒る人は怒るだろうなあという覚悟あってのラストなのだろうけど)。ラストシーンの公園は、日本初(?)の誘拐事件:ヨシノブちゃん事件で身代金(百万円?)の受け渡しがされた場所、日付も紙幣流通に関するなにか意義ある日だったそうです(これは、ああそうなんだ‥と思う程度だったけど)。ちなみにこの映画が4本のラストなのは、「ほんとはおばあちゃんキスかゾンビ外伝をラストにして、観客によい余韻を持って帰ってほしかったんだけど、途中でこれ観たら、ラストシーンがあたまに残っちゃって次の作品に集中できないでしょう」、とのことでした(佐藤佐吉プロデューサー談)。たしかに。
今日シネマアートン下北沢に行ったのはほんとにたまたまだったのだけど、真利子監督のはなしがかなり映画を補充するかんじだったので、よい感触だった。真利子監督好青年だったし('81年生まれて!)。
(以下ほんとに結末に触れます)
ちなみに宝くじは、さいしょの予定どおりギーさんの言ったお店で買っていたら、1億円当たったかも(あの日に売った番号から1億円のアタリがでたとか‥)、だそうです。ヤダこわい‥。 (自分メモ:23万てリアル‥)

*1:いいやおばあちゃんを乙女として扱うあたり、ジェントルマンなのか?

*2:「主演」というのも、自分が主演なら制作費を抑えられるというのもあったのかなー。ミツオ、かっこよかったし(フジオもかっこいい