美学校:ゲスト木下綾乃

今日のおやつはロシアのお菓子セット。味のロシアテイストはさておき、パッケージのロシアテイストはうれしくなっちゃう間抜けな可憐さ。ゲストは木下綾乃さん。イラストレーターで、お手紙や文房具についての本を出されています。今日は、お手紙の、書き方ではなく楽しみ方を教えてくださいネ、とヌマ伯父先生。
教室には、木下さんのアトリエが再現されて、愛用の文房具が並べられていたのですが。どれも愛着があるんだろうなー・ちいさいものひとつひとつが甘すぎなくもかわいくて、さりげなさに頬がゆるむ。木下さん本人が、これまた、この文房具セレクトどおりの、さりげないかわいさに満ちた方で。黒目がちのせいか、着ている服の配色のせいか、ムーミンにでてきそうな雰囲気(わたし的にはかなりうらやましい雰囲気)。杉浦さやかさんが「妹にしたい」と言われるだけのことはあるなあ。

イラストレーターである木下さんが、なぜ手紙に関する本をだすことになったかというと。イラストを送る際、封筒や切手に、(単純にそうするのが好きだから)手をかけて楽しんでいたところ、それを受け取る編集の女性から、「手紙がお好きなら、手紙の本を書いてみませんか?」と声がかかったそうで。なんて素敵なエピソード。「もし相手の編集さんがこういう遊び心を使いたくなる人じゃなかったら、このお手紙魂が日の目を浴びることもなかった可能性が?」と運命を感じて素敵さ2割増し。
木下さんが手紙好きになったのは、手紙好きのおばあさまの影響かなあ(血筋?でもおかあさまは筆不精だそう)‥、小学生のときに転校したこともあり、小さなころから手紙を書くことが好きで、今でもメールは用件があるときだけで、ほんとのきもちを書けるのは手紙だけの気がするとのこと。イラストのお仕事に入るまえに、助走のようなきもちで手紙を書いて・気持ちを集中させるとか。手紙の本を書くときは、文章も手紙のような親しみを持って書くようにこころがけていると聞いて、木下さんの本を読むとどうしてあんなにうれしい気持ちになるのかわかりました。
実技として(?)、オリジナルの封筒を作っていただいたのですが。手馴れているから?ささーと見る見る封筒いっちょあがりーてなってしまって、あっけないほどでした。こんなにカンタンに出来るのだったら、あれこれ遊んでみたくなるなあ。A4の紙があればカンタンに封筒が作れることを見せていただいたので、さっそく生徒間で素材の交換会。めいめいが、「封筒にしたらいいんじゃないかな」というA4サイズの紙と、お気に入り切手を持ち寄って。ぐるぐる回すという趣向。みんなの持ち寄ったカラフルな紙・切手がたのしくて、真似したいアイデアを見付けてヤッターと思ったり、こけしの切手にときめいたり。わたしの持ち寄ったレターセットがすぐはす向いの乙友にまわったので、表情をよみとったり、どきどき。わたしのところにやってきたのは、つつましくも華やかな和紙でした。ふふかわいい。だれに出そうかな。手紙のよろこびって、これを見てよろこんでくれるだろう誰かがいるっていうよろこびだろうなあ。
2時間近くお話をうかがって、やっぱり木下さんてムーミンにでてきそう!と思いました。

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わたしが木下さんのファンになったのは、この本のなかの「ブルーナさんへの手紙」という章。ディック・ブルーナ氏にお会いしたなんて、うらやましすぎていっそねたましいくらいなのに、そんな邪念の入る余地のないしあわせそうな文章と笑顔に、いっぱつでやられました。素敵すぎるので少し書き抜き。笑顔は書籍を手にとってごらんください。

手紙を書きたくなったら

手紙を書きたくなったら

アトリエでひとり迎えてくれたブルーナさんは、写真よりとても若い。ばら色のほお。いつでもキスがひとつ、浮かんでいるような口もと。黒目はぴかぴかしていて、ちいさな星が入っているみたい。手とか肩に触れるとあたたかい。なんてチャーミング。なんてすてき。こんな人が現実にいるなんて!