吾輩は猫である(1975)/処刑の部屋(1956)

新文芸坐 特集「映画を通して社会を見る。」&「〜追悼 市川崑〜」
へんな映画観ちゃったなあ。しかも二本。名匠といえどもすべての作品が名作だなんて、ありえないものねえ。

吾輩は猫である [VHS]

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自分内人気急上昇中の仲代達矢が文芸作品の主役!とたのしみにしてたのだけど、仲代(呼び捨て)‥。表情がいちいちオーバーすぎだよ。でもどこをどうやりすぎているのか、冷静に見るとふつうな気もする。ただ単にこういう顔なだけ(顔自体は夏目漱石に似ている)?でもその後出てきた岡田茉莉子も相当やりすぎていたし、ほかの俳優さんもちょっと度を越えていたので、ユーモアのために過剰演技で統一したのだろうなあ。必要ないのに。もったいないことをした。オーバー演技ばかりですこし疲れてしまったけれど、TV画面で見るならこれくらいのほうがいいのかも。明治時代のセットは豪華で素敵だった。街並、一軒家や洋館や学校に、女優陣の着物姿!刺繍いっぱいの半襟(ファンタスティック)!島田陽子も眼の保養。
(この映画でネタバレというのもないと思うけど、いちおう断ります。以下物語の結末に触れます。→わたしは猫が死ぬとかなしいきもちになりすぎると思いました。ハフー‥)

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処刑の部屋 [DVD]

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太陽族」?をモデルにした、青春虚無映画(石原慎太郎原作)。主演の川口浩は大学生なんだけど、心は「17歳の地図」。父親の背中を見て「ああはなるまい」と思いつつ、父親から小遣いをせびりとったり、いっしょに馬鹿やっていた友達が堅気になってゆくのを見て、奇行に走ったり。成人男性のすることじゃないよーとイライラしてしまうのは、川口浩がとにかく憎たらしく見えるから。たのしみにしていたヒロイン(?)の若尾文子も、役に合ってない。若尾文子に意義が見出せないなんて、ある意味有意義。この映画を見たあとで「吾輩〜」のことを考えると、よい映画だった気がしてくる。