恐るべき子供たち(1950)/詩人の血(1930) @新文芸坐

〜魅惑のシネマクラシックス

恐るべき子供たち [DVD]

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小説と萩尾望都の漫画を読んだことあるけれど、映画で観るのはハジメテ。
「美の特権はすばらしいものである。美は美を求めないものにさえも働きかけるのだ」。原作と同様、冒頭にこの言葉が流れる‥。そう、映画のなかの美の特権はおもにナレーションで描かれる(というか流れる)。ナレーション‥映画なんだから映像で語らないと。自称美人のお話では、パンチが弱すぎる。コクトー本人が脚本を書いているのだけれど、文字ではここまでか。美の特権の映像化が難しいだろうということはわかるけど、この物語の醍醐味は、ひとえにこの「美の特権」にあるので、大事なものが欠落し、残念なかんじに。姉弟愛の歪な小宇宙の甘美さもあまり伝わってこなくてム‥(ていうか役者さんが大人すぎて、「なにやってるんだ」的な)。でも死の描写は不吉な影とすこしの甘美さが重く胸に残る。ここを残してどうするよってかんじもするけど。

詩人の血【字幕版】 [VHS]

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大昔に深夜のTV放送を観たときに、狐につままれたような気持ちになったのを覚えてる。しばらくぶりにスクリーンで再会したら、やっぱり狐につままれた‥。ふくらんだ断片的なイメージが映像化される爽快さのある箇所もあるのだけれど、天才に化かされたというか煙に巻かれたような。

コクトーの映画のなかではやはし「美女と野獣」がマスト‥。またあれ観たい。

美女と野獣 [DVD]

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(この映画のお伽密度は濃厚で絢爛豪華。ジャン・マレーの美貌も野獣向きで、この映画の彼には安心できる‥)