楊貴妃(1955)・新・平家物語(1955)

会社のあとで新文芸坐溝口健二二本立て。疲れそうで気がすすまなかったのだけど、観に行ってよかった。娯楽性を重視しているので芸術派からはあまり評価されていない作品らしいのですが、わたしには素直にオモシロカッタ。歴史絵巻って(←?)、とりとめなくって遠くからぼんやり眺めるような感覚になりがちなのだけれど、これは二作とも豪華かつ芯がとおっていて、緩急のバランスがとれていて心地よく集中して観ることができました。オモシロカッタです。

楊貴妃 [VHS]

楊貴妃 [VHS]

舞台は中国なのだけど、「日本人がイメージする中国」という未開感がエキゾチックさを盛り上げて。不思議の国っぽくて魅力的に映りました。京マチ子がすんごく艶っぽく美しくてお人形さんみたい。お化粧も素敵。粉っぽいいい匂いがしそう、というか匂いたつ美貌‥。うっとり見惚れる。
新・平家物語 [VHS]

新・平家物語 [VHS]

二本目に観たこれは、日本のものなので、「楊貴妃」と比べるとなんていうか画面が地味。町並みも着物の色調も地味。派手なのは坊さんの悪行くらいか*1。そして平安時代の美的感覚はほんとうにわからない*2‥。同じ国とは思えないくらい、我がDNAに組み込まれていない、と思う。いつか平安の美について理解する日が来るのだろうか。とても興味深い課題だ。木暮実千代の姿ひとつから想像がふくらみすぎました(当時37歳というのもこれまた衝撃的なことだ)。映画はおもしろかったです。主役の市川雷蔵の若いこと。そして暴れん坊眉毛なこと*3。もといイキイキとしてること!演技が少し荒削りなのも好ましい。主要登場人物が魅力的で安心して観ていられるのもいいな。大舟に乗ったつもりで時代劇。

*1:お坊さんの悪行を見るとワクワクするのは何故だろう。前世は悪徳坊主だったのか

*2:そういえば春に見たNHKの番組での十二単の色合わせの解説はすごい衝撃的だった。奥が深すぎる!感心を通り越してむしろ呆れた

*3:真似したい。フリーダ・カロ?