ギンレイホール二本立て「サン・ジャックへの道」「ボルベール〜帰郷」

サン・ジャックへの道
この映画がギンレイに来ると知って、Kとふたりして小躍りして楽しみに待っていたのだけど。Kは時間の都合がつかずひとりで鑑賞。予想どおりいい映画だった。‥ゴメン、K。すごく、すごくいい映画だった。今のところ今年のナンバー1だ。ここまでいい映画だとは思わなかったのでかるく罪悪感‥。どこかで上映されたらこんどは一緒に観よう。

サン・ジャックへの道 [DVD]

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すごくおもしろかった。仲の悪い兄妹が、あかの他人同士が、巡礼のために数ヶ月寝泊りをともにして、ただただ歩く。同じ景色を見て、同じものを食べて。大人なのに大人気ないけんかして。でも一緒にいることが愛なんだ。わたしの言葉が陳腐でもうしわけないのだけど、この陳腐がまっすぐ成立しているのだもの。こういうシンプルなお話っていいな。問題だらけの、ところどころに引っ掻きキズだらけの人生がやさしく肯定されていて。この映画大好き。

【ボルベール〜帰郷】

ペドロ・アルモドバルの映画って、色彩の美しさにハッとして、ああ世の中にはこんな美しい色があるのにどうして美しい色だけを見てはいられないんだろう‥と胸打たれたりするのだけれど、物語(というか愛の描写)には首をかしげがち(単なる相性か)。このお話も、はじめの無茶はまあアリかな、とクリアしたのだけどラスト近くのはナシでしょう‥(途中で予想できるんだけど、せめて納得できるかたちであらわれてくるのかと思った。なんだよ説明なしかよ)。不幸に美学がないのはいけないと思う。ただの不幸はぜんぜんだめだ。←男性陣の描かれ方のはなし(だって‥。もはや女性賛歌なのか男性銃弾なのかわからん。あんなダメ男ばかりの世界で賛歌されても女としてイヤ)(世界観に説得力がなくなる)。そんなわけで冷めたきもちでエンドロールを迎えたのだけど、エンドロールがやたらと綺麗で。ほんとにこのエンドロールで不満を帳消しにしなくてはいけないくらいの麗しさで。‥なんかズルイ。