さよならルネさん

ブログを書くようになって気が付いたのだけど、世界は訃報であふれている*1。でも今回の訃報ほどわたしをふるえさせた訃報はない。以前書いた日記(→☆)にトラックバックをもらい、訃報を知り(→☆*2。朝から動揺して腰をぬかしそうになりました。とりいそぎ、心の底からご冥福をお祈りいたします。(会社から帰ったら、もっとちゃんと書く。書けるなら)
(会社から帰ってきたので、ちゃんとしてないけど少し書く) 
ルネさんといえば、4月に講座のゲストにいらしたときの姿が思い出されるのだけど。この日の授業は、ほんとうにおもしろくて、ルネさんのチャーミングさは、ほんとうに感動的で。人間て、もっともっとチャーミングになれるんだ!て驚いた。チャーミングの可能性を見た。
それで、悔やまれるのは。ルネさんは伊豆の修善寺に、人形などを展示した内藤ルネ館をお持ち(?)だそうで。「ムチが似合いそうな妖しいお人形もあるのよ、ウフ!よかったら見にいらして!(タイミングがよければ、わたしもいるから!)」などとおっしゃっていて。‥講座で大満足!したわたしは、「今でなくても、いつかそのうち‥」なんて保留にしていたのだけど。こんなに早く逝ってしまわれるのなら、翌週にでも出かければよかった。もし運良くルネさんにお会いできたら、上手く言葉に出来なくても、講座でのお話に感動したことを、伝えればよかった。支離滅裂でもいいから。
こんなことを考えるのは、訃報のせいだって、わかってはいるけど。実際は出かける行動力もなければ、お会いできるかもわからないし、万一お会いできても、意気地のないわたしは声をかけることもできないだろう。言い訳すれば、あのときの講座の空気で、生徒たちが感動したことは充分伝わったと思うし。でもでもでも。人の死は、ほんとうに、時間というものを突きつけてくる。伝えるべきことを伝えられているか。せめて大好きなあのひとに。
(こういうとき猫がいるといいのにな。猫がいれば。そうすれば少しは気がおさまるの。にな)

*1:で、考えたんだけど、でも同時に、誕生にもあふれているの。きっと。ただ、生まれたときは、ただの赤ちゃんで、ニュースにならないの。世の中はどんどんさびしくなるだけじゃないの。どんどんにぎやかにもなっているの。そう考えると少し落ち着く。でもやっぱり、ルネさんほどの人は、そうそうめったにいない気がする。ああでも神様もそれはさびしいだろうから、そんなことはないかしら。普段神様なんて信じないくせにルネさんのためなら信じます、わたし

*2:内藤ルネさん74歳(ないとう・るね<本名・功=いさお>イラストレーター、デザイナー、文筆家)24日、心不全のため死去。葬儀は行わず、後日お別れの会を開く。主催者は友人本間真夫(ほんま・まさお)さん。女性画で知られる中原淳一に才能を認められ、中原が創刊した中高生向け総合誌「ジュニアそれいゆ」などにイラストを描いた。エッセーも手がけ、1950〜60年代の少女文化を代表するイラストレーターとして活躍。少女たちのあこがれる女性像を「しとやかで美しい」から「元気で可愛い」へ転換させたと評価される。貯金箱や文房具など雑貨のデザインでも知られる。著書に「こんにちは!マドモアゼル」など。