ミス・ポター

いやみなくわたしの涙腺を刺激してくれました。冒頭、ビアトリクス(ポター)がピーターに「冒険が始まるわよ!」って話し掛け、ピーターが動き出すところで いきなり ツー(涙)。なにこの涙。全編そんなかんじであちこちで涙ぐみ。なにがわたしを泣かせるのかなーと思いながら鑑賞。映画として足りない部分があるのはわかるんだけど、ピーターラビットのあの絵がなめらかに動くってだけで涙がこみあげてくるんだからどうにもならない。イギリスのかわいいものってわたしのツボだものなあ‥。きっとそれでガードが弱くなっちゃうんだ。
だってビアトリクスの部屋の内装ったら!幼少時代のセピア色の思い出ったら。お庭の花々。午後のお茶会。そしてなによりビアトリクスの描く動物たち‥!美しいものたちに囲まれながら、ビアトリクスの童話にブラックな側面があるように(ピーターのお父さんてミートパイになったんだよね‥。子供の頃、意味がわからなかった)、ビアトリクスの生涯にもつらい出来事がたくさんある。一番の悲劇は婚約者との別れなんだけど、これ‥。実話だと思うから受け止めるしかないけれど、フィクションだったら「ナシだろ‥」って鼻白むほどの悲劇。事実って時に、どうしょうもない。母親との確執もせつない*1
でも登場人物がみな、悩んだり傷ついたりしながらも善い人でよかった。ビアトリクスの内弁慶っぽい、ぎこちない微笑みに胸がいたくなる。ミリーとの友情も素敵。気の合う友達でいながら、階級や思想の違いによって洋服の着こなしがちがう(ミリーのほうが少し意識的)(ちがいつつカラーは似ている)ところなど、随所に好感がもてた。ビアトリクスの教育係(?)のおばあちゃまのクリスマスパーティのときのドレス姿もゴージャスでよかった。
この映画を観た友達が、「湖水地方に行きたくなるよー」と言ったのを、「ピュアな奴‥」と思いながら聞いていたけど。たしかに行きたくなるね、湖水地方。照れ隠しに倒置法を使いたくなるほどに。美しい風景はもちろん、この美しさを保存してくれたビアトリクスのことを思うと、見にいかないのはもったいない‥!という気になる。素敵だろうなあ‥!*2 *3

*1:ビアトリクスは若いし、笑い飛ばせるんだけど。お母さまの気持ちを思うとせつないわー。うう‥

*2:ちなみにわたしのはじめての海外旅行はイギリス。一日、妹と二人で「くまのプーさん」の森だったというハートフィールド地方に行きました。今思うと、無謀‥。英語なんてろくにしゃべれないのに、筆談とジェスチャーでよくのりきった。森からバス停までの帰り道、あんのじょう道間違えたりしてね!←途方にくれてたら通りがかったイギリス人が、「あっちに行くんじゃない?」と指差して方向をしめしてくれた。すごいねー、旅なんて、なんとかなるもんだねーなんて明るくのびのび帰ってきたけれど。今考えると本気でこわい。アホすぎてこわさを感じなかったのねー‥。二度とできないあんな旅

*3:埼玉県こども動物自然公園内にヒルトップ農場を再現した「ビアトリアス・ポター資料館」というのがあるらしい(→☆)。東松山市‥。遠そうだけれどイギリス行くより近いよなあ。まずこちらに行ってみるのが妥当か‥