丸木スマ展 

〜樹・花・生きものを謳う @埼玉県立近代美術館

丸木スマ(1875-1956)は、70歳をこえてから絵を描きはじめ、81歳で亡くなるまでの間に700点以上もの作品を残したおばあちゃんです。気骨のある働き者でしたが、《原爆の図》で知られる長男の丸木位里と俊夫妻にすすめられて初めて絵筆をとり、元気よく育った木々や草花、可愛がっていた犬や猫、とりたての野菜、山里を行き交う鳥や虫たちなど、日々の暮らしで親しんだ生命あるものの姿をいきいきととらえました。
      〜埼玉県立近代美術館HPより(→☆)〜

陳腐な言葉だけれど、すごく感動した。ときどき泣きそうになり、最終的には泣いた(簪。あのスケールは反則)。原画を見るってすごく恵まれた機会なんだとあらためて感じた。おそれおおい娯楽だわ。すごい絵だった。色使いのまばゆさ・奥にひそむ陰の濃さ。生命の賛歌。線の自由さ*1。この自由な線が子どもではなく70歳を越えたおばあさんの手から生まれたというのがまた。うれしくなってしまう。いくつになっても自由な心を持っていられるのだ。持てばいいのだ。会場のところどころに、『スマに共鳴する3人の美術家(かわしまよう子須田悦弘・安藤栄作)の作品もあわせて展示』となっているのも、贅沢な息抜き空間になってよいかんじ。

丸木スマ年譜より)
1952年 77歳 : 1月、初めての個展、「丸木スマ個人展」を開催する。女流画家協会展や院展に入選できたのは息子夫婦がスマの絵に手を入れたからだという陰口を耳にし、自ら開催を希望したもの。家族総出で準備をし、約130点を展示する。

↑この動機もだけれど、展覧会のサブタイトル(?)が、「絵は誰でも描ける 八十のおばあさん」、主催が「おばあさん画伯を賛える会」というのがかっこよすぎてしびれる。天晴れ、おてんばおばあちゃん(好き好き)。息吹にふれられて光栄です。今年見た展覧会で一番の感動かも*2 *3。つきあいで見ていたKも、展覧会を見るうちにすっかりスマファンになっていったのであった*4。めでたし。

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ちなみにこの丸木スマ展が8/31まで北浦和で開催されていて、実の娘の「大道あや展」が渋谷で(8/5〜9/21)、義娘の丸木俊展が東松山で(7/5〜9/6)開催中。なんという豪華な夏なのか。(しかし東松山‥。行けるだろうか‥)

*1:「子供のような絵」と言われることの多い絵だけれど。実際そうなんだけど、いくつか絵を見ていると、ふつうに(?)上手にも(?)描こうと思えば描けそうなものを感じるんだよなあ。でもあえて自分らしい絵を描きたいと思ってあの視点を重要視したのではないかなあ

*2:と思ったけど春に見た「熊谷守一展」もよかったんだよなあ。あれもここの美術館か。‥埼玉県立近代美術館すごいな。はっ秋の展覧会も期待できそう!→「アーツ・アンド・クラフツ〔イギリス→アメリカ〕 ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで(→☆)」。埼玉県立近代美術館‥。おそろしい子!(しろめ)

*3:記憶補足。1950年代日本のグラフィック展と初山滋の回顧展もスゴかったのでした。そして秋には大本命、茂田井武展が待っている!むしゃぶるい

*4:Kいわく、「自画像すごいよね」。ウンわたしもそう思う‥