孤独の賭け(1965) @ラピュタ阿佐ヶ谷

このあいだの乙美の授業のとき、小西さんが、「日本の女優さんで好きなのは佐久間良子*1とおっしゃって。ハテ佐久間良子。名前は知ってるけど顔が浮かばない。これではイカンとラピュタの特集〜昭和の銀幕に輝くヒロイン 総集篇1(→☆)〜にかかるのを、これ幸いとでかけてきました*2
フィルムノワールを意識したような冒頭のシーン。かっこいい‥!クリスマスのキラキラした街並のなか主人公の孤独が浮き彫りになる描写が、わざとらしくなくスマート。これはかなりぐっときた。でもスマートなのは出だしだけで、物語がすすむにつれて、なんともバタくさいことになってゆくのだった。なんか‥。昼の2時間ドラマみたい。そう思ったら、実際、63年にドラマ化したものを映画化したそうで*3。納得。そういえばダイジェスト感あったなあ。
佐久間良子の魅力に触れたくて足を運んだのに。小林千登勢の、いやげな引力にクギづけ。小林の役柄は、佐久間が思いを寄せる青年実業家(天知茂)の秘書。出てきた瞬間は、陰気な美人顔(貴族顔?)に反感‥(単純に好きな顔でない)。「あなた、彼を愛しているのね?」と言う問いに、「‥お慕いしております」。お慕いしているだけでございますと言いながら、きっちり男女関係があるあたり‥(天知は妻帯者)。そういえば、陰気なぶん、淫靡だもんなあ。淫靡でありながら、仔犬のような純真さで天知に寄りそう小林。健康的に美しく・健康的に気が強い佐久間良子はなんとも分が悪い。
ふと気付けば、この映画、女性キャラクターがかなり濃い。特に濃いのは、出てきた瞬間・台詞を言うまえから幸薄そうな岩崎加根子。すごい。ただいるだけで不幸そうってどういうこと?この女優さんのこと全然知らなかったけれど、ほかにはどんな役をやっているのだろう気になる。大原麗子が映画デビュー作として、あどけなくあかぬけない魅力を発散。映画のオープニングクレジットで「大原麗子(新人)」と出たので可憐さに期待したのだけれど、(可憐だけど)時代性なのかとにかくあかぬけない。眉毛か?でもそういえば加賀まりこのデビュー作も可憐だけどあかぬけない印象が強かったので、デビュー作というのはそういうものなのかもしれない。デビューした瞬間都会的なんていうんじゃ、応援する気になれない時代だったのかも。ちなみに梅宮辰夫には気付けなかった(映画が終わったあと考察して「アイツか‥」と)。まだまだ知らないことばかりだ‥(とりあえず佐久間良子をいちばんにあげる理由がわからないままだ)。

*1:ちなみに外国の女優さんでは「シルビア・クリステル」。日本の男優だと「高倉健」、外国だと「ピーター・オートゥール」がお好きだとか。小西さんにとって映画とは、ずっと見ていたい人をずっと見ていることができる娯楽だとか。ちなみにヌマ先生が「アヌーク・エメはどうですか?」とふったとき(ヌマ先生の好みなのかな?)、「いいですねぇ。‘永遠のお姉さん’てかんじ」とコメントしたのがナイスでした。たしかに永遠の年上ってかんじ

*2:ちなみに総集篇2ではヌマ先生大プッシュの「しとやかな獣」がかかるので、気になっていた方はどうぞ(→☆)。10/5〜7と期間が短いので気をつけて

*3:2007年にテレビドラマでリメイクされたそうで。ドヒー。全然知らなかった。この昭和ドラマを平成の世で?と思ってキャストみたらドヒエー。これは‥ひどくないか?逆に見たいぞ‥