珊瑚の島で千鳥足
- 作者: 銀色夏生
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/10/25
- メディア: 文庫
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
ちょっと前に出た「銀色ナイフ」*2がなんだかくどくどしい本で、「今はこういう心境なのかしら。それとも歳を取ると誰でも話がくどくなるという現象なのかしら。後者だとしたらこれからもずっとくどくど路線で?」と心配していたのだけれど。この本は、せっせ(銀色さんのお兄さん)の介護日誌がメインになり、銀色さんは狂言回し的役割に徹しているせいか、風とおしがよいです。銀色さんも変人だけれど*3、せっせもしげちゃん(銀色さんのお母さん)も変わり者だよな、とすがすがしいようなほほえましいようなきもちになります。たぶん、ひとって、ちょっとづつ変わり者なんだ(などときれいにまとめるには、この一族はかなり逸脱しています)。
「もと映画館のアパート」だとか、部屋のなか畳から草が生えたりとか、地方の生活スゲー。ディスカバリージャパン。わたしの知らない日本がここに。でもいちばん度肝をぬかれたのはセッセ丼。わたしの知らない合理主義がここに。いやあああああ。(まじでここ、しみじみ考えた。これを出されたら食べるのかと)(りんごはりんごだけはべつにしてもらいたい。洗い物を減らしたいなら、むかずにそのまま出してくれていいから。←サラダに果物がまじることにどうにもなじめないわたし)(メカブも、いっそパックのまま出してくれていいから)
わたし大抵の男の料理には、笑顔でむかう覚悟があるつもりだったけど。セッセ丼すごすぎる。セッセ。或る意味、男のなかの男。・・・人っておもしろい。人生っておもしろい。おもしろがれるうちは大丈夫。元気でるにゃあ。