愛のむきだし(2008) @K'sシネマ

久しぶりのK'sシネマ。エレベーターを待っていたら、タイガーマスクのおじさんがやってきた*1。わたしは新宿に歓迎されている。そんな気がした。
新宿の歓迎はさておき、「愛のむきだし」。おもしろいのだけど主演の3人が見事なだけに(ほんとに3人ともすごい!これが見られるだけで満足しなくちゃいけないのかもしれません)(ゆらゆら帝国の使い方もかっこよかった)、もうちょっとどうにかしたら、文句なくおもしろかったのに、と惜しく感じてしまった。こんな極端な状況じゃなくても愛はむきだせるはず、とか、そもそも4時間どうなのよ・でもどう見ても余分なシーン(盗撮特訓のシーン)がおもしろいから、あれを削るのは惜しいよなあ、とか。ああでもそれより、もっと切実さが欲しかった。むきだした切実さ。それが見たかった。
そんなものを求めてしまうのは、昔(91年‥)見た「自転車吐息」の感激が、大きすぎたからだと思う。あれ以来、園子温という名前が特別なものになってしまったからだと。あの感激は若さゆえ?でも「紀子の食卓」(06)にもかなりやられたから、見たわたしの年齢的なものでもないと思うんだよなあ。なんにしろ園子温の映画にのりきれないと、「透明ランナーが見えなくなってしまった‥」としょんぼりした気持ちになってしまうので、厄介なのだ。ものを好きになるのって、厄介なんだ。

*1:新宿の町や映画館でたまに見かける、タイガーマスクのおめんをかぶり、羽飾りやファーをまとったおじさん。新聞配達をしているという説あり。顔はなかなかどうして理知的なハンサム。映画館で姿を見るのは3度目か