幕末太陽傳(1957)@早稲田松竹

早稲田松竹ラシックス vol.34 川島雄三監督特集〜
前回この映画を観たとき、「なんっておもしろい映画なんだ、もう一回観たい!また観たい」、映画が終わったとたんにそう考えたのを思い出した。なぜなら今日もそう思ったから。映画監督が映画を作るのは、自分の理想の世界を人生を暗闇に浮かび上がらせるためじゃないかしらん、なんてたまに思うのだけど、出たよ理想の世界。不吉にすすけつつ、バイタリティと愛嬌のある世界。ああもうDVD買おうかしら。(と前に観たときも思った。今度こそ買うか。あのおかしな給付金で)*1

幕末太陽傳 コレクターズ・エディション [DVD]

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「生きている人」と「死んでいる人」というのは反対語だけれど、「生きている人」と「いつか死ぬ人」は同義語。だからこの映画のなかでしつこいほどの死のにおいと対面するのは、実はあたりまえのこと。この世は生きているものと死んでいるものとで出来ている。(なんでだか、「田紳有楽(藤枝静男)」を思い出し、再読したくなったのだけど。あの物語も、生きてるもの・生きてないものまじえてのどんちゃん騒ぎだからかなあ)
いくつかの落語をベースにしているのだけれど、物語らしい物語はなく、ただ登場人物の人生があるだけ、みたいなところが好き。大好き。登場人物がほんとにいきいき生きているのが愛しすぎる。うれしすぎる(もはやありがたすぎる)。左幸子のまるで化け猫のような美人顔。イイナア。笑ってしまう。フランキー堺のデコっぱちぶり、調子のよさときたら、もうもうもう。ほんとに気持ちよく見蕩れてしまう。もう後半はあきらめて、ばかみたいにうっとりと、この映画の世界に浸ってにやにやほうけた*2。たのしかったナァ。ああまた観たい*3

*1:あの給付金だけは使わずに貯めておこうと思っていたが

*2:しばらく日記を書かない生活をしていたら思いのほか快適で、このまましばらく休もうかしらんとも考えたのだけど、この感動を残しておかないとそのうち忘れてしまうんだわ!こんなに感動したのにね!とこわくなり、やっぱり日記はためずに書いておこうと思いました。しかしそのわりにうまく書けないー。‥つうかいつも以上に理性のない文章で、逆に感心

*3:同時上映の「しとやかな獣」も観たかった‥。でもこの二本立てのセレクト。知ったときはあまりの豪華さに血が逆流したけど、実際、豪華すぎじゃない?初の川島雄三体験がこの二本立てだったりしたら、毒だよ罪だよ