内藤ルネ展 “ロマンチック”よ、永遠に @大丸ミュージアム

 たくさんの愛と希望を、「カワイイ」という美学に込めて。 
              
 ビビッドな色彩と大胆なデフォルメをした、イキイキとした女の子を描き、戦前からの奥ゆかしい少女画を一蹴するような、まったく新しいスタイルを生み出し、現代にも影響を与え続けるアーティスト、内藤ルネ(1932-2007、愛知県生まれ)。
 ルネは19歳の時、憧れだった“日本の少女文化の開祖”中原淳一にその才能を見いだされて上京。1954年の『ジュニアそれいゆ』創刊と同時に主要メンバーとなり、やがて表紙を担当する看板スターに。各少女雑誌の口絵や付録などを多数手がける一方、1960年代からはファンシーグッズや人形のデザイン、インテリアの提案などその美学を余すことなく発揮しました。
 本展では希少な原画や初版の印刷物、グッズ、ドレスなど約1,000点を一堂に展覧。現在の“カワイイ”につながるニュアンスの発見と普及に大きく貢献したルネの、多彩なファンタジー・ランドをお楽しみください。

ルネさんが永遠に掲げる“ロマンチック”とは ≪夢見ること≫。ジュニアそれいゆでのジュニアへのファッション指南(カワイイ!カワイイ!やりすぎててカワイイ!カワイイを百回言ってもまだ足りないよ)、「私の部屋」で提案するライフスタイル、ルネパンダを筆頭とするファンシーグッズの膨大な数(そこに書かれるルネさんの言葉がまたチャーミングで無敵!)(JON AND AMYってルネさんだったんだ‥。パティ&ジミーのパチモノじゃなかったんだ‥)、薔薇族の‥わたしにはよくわからない男色と四季との関係(桜の樹をバックにフンドシ男子とか)‥。ポップでカラフルでファニーな作品がびっしり並んだ会場は、なるほどまばゆい夢のなかみたい。夢みたいだけど、儚くなくて、じわじわとよろこびがわいてきて、むしろ力強い‥。そうだ、忘れていたけれど、カワイイはパワーなんだ。
会場内にちりばめられたルネさんの言葉のあちこちに涙がでそうになりました*1

キスするようにして食べるさくらんぼは初恋の果物っていう気がします

ルネさんったらなんて可愛らしい心で暮らしてらしたんですか‥!

ルネさんの作品に囲まれて、ルネさんのチャーミングさをひしひし感じて、ルネさんの展覧会を見ているあいだ、うきうきしあわせでした。ルネさんがいて、日本はしあわせだな(過去形にはしません)。たくさんの、ロマンチックを、夢見る力を、ありがとう、ルネさん。

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(付記)
昔書いた、乙美のゲストにいらしたときの日記(→☆)。今読むと、「ちっとも書けてない‥」と多少凹みますが、ルネさんのチャームが少しでも伝わればいいなと思います。

*1:解説板にレースをあしらったり、ルネさんへのリスペクトあふれる展示も感動的でした