UNDERWATER LOVE 〜おんなの河童〜(2011) @ポレポレ東中野

UNDERWATER LOVE 〜おんなの河童〜

ピンク映画を中心としたフィルモグラフィーに、男女問わず熱狂的なファンを持つ天才・いまおかしんじ監督最新作は、来年公開の大作『キツツキと雨』が控える新進気鋭の脚本家・守屋文雄と、ウォン・カーウァイ作品を始め、アジア映画からハリウッド映画まで幅広く活躍して来た世界的巨匠カメラマン・クリストファー・ドイルという布陣で描く世界初の“日独合作ピンクミュージカル”である。音楽にはドイツの人気ポップデュオ“ステレオ・トータル”が参加、カタコトの日本語を摩訶不思議なエレクトロサウンドに乗せて愛を謳い上げる。また、特殊造型は世界的な注目を集める西村映造が担当している。キャスト陣は、本作が初の本格的主演映画となる正木佐和がヒロイン・明日香役を、そして松江哲明監督伝説の青春ドキュメンタリー映画童貞。をプロデュース』への出演で一躍脚光を浴びた梅澤嘉朗が大抜擢に応え、河童役を熱演!未だかつて世界中の誰もが観たことのない河童×ラブストーリー×ピンク×ミュージカルのワールドワイドなコラボレーションがここに誕生した!(→HP☆

いまおかしんじ×クリストファー・ドイル×ステレオ・トータル×河童‥。ああ、こうきたか。そうか、こうくるのか〜。観ているあいだ、わくわくしっぱなし。おおらかででたらめで、やさしくて、うれしい。ふわふわしあわせな夢をみた。大事にしたい夢をみた。
すごく満足、すこし本気の感動、上映中(ポレポレでは10/28まで)また観よう!とこころに誓いました。誓ったついでに、この映画を女の人向けにPRしてみます。ピンクだけれど、見逃したらもったいないので。
(これは、9月に某ミニシアターで前売り券を買おうとしたところ*1、「UNDERWATER LOVE」で登録していたため、何度「おんなの河童」と言っても通じず、いじめられた気分になったのと、わたしの盛り上がりほど世間は河童に盛り上がってないわ!と憤慨した思い出によります。長くなるのでたたみます)

えーと、まず第一に。ポレポレ東中野には、痴漢はでないと思います。ポレポレは、ミニシアターのなかでもかなり痴漢がでにくい劇場なので安心してね(ユーロスペースもこわくないけど、ユーロスペースでの上映はレイトなので、帰り道こわいかも。翌朝寝坊するかも)。
それでは。
その1.撮影は、クリストファー・ドイル。さすが日独合作。ていうかドイル!ドイルがピンク映画の撮影っておもしろそうでしょ?実際ドイルのカメラはファンタジックに光を切り取り、日本の田舎の風景が、桃源郷のような美しさ。このカメラだけでわくわくできます。おかわりできます。
その2.音楽が、ステレオ・トータル。ピコピコローファイなテクノサウンドに、ドイツ人の歌うカタコトの日本語。あざといんだけど抗えない魔力。昭和の昔から日本人は外国人のカタコト日本語が好きなんだもん。 しかたがない‥。
これがどれくらいいいのかというと、帰り際にサントラを買ってしまったくらい。それくらいよいのです。映画観た直後にその映画のサントラ買うのなんて「ツバル」以来じゃないかしら。

UNDERWATER LOVE-おんなの河童-オリジナル・サウンド・トラック

UNDERWATER LOVE-おんなの河童-オリジナル・サウンド・トラック

その3.ファンタジーである。女の人はファンタジー好きでしょ?わたしは好きだよ。 ただでさえファンタジックないまおか映画に河童を投入。ファンタジウムきわまれり。
その4.ラブコメである。女の人はラブコメ好きなんでしょ?わたしはそうでもないんだけど(えー)。でも会社の映画友達にそう言われたの。女の人はラブコメが好きだって。世間に土下座したい気持ちになったよ。でもわたしだって、きちんとたのしめるラブコメは好きだわ。
その5.登場人物がみんなみんなチャーミング。ヒロインの正木佐和の35歳役にしてのおんなのこっぷり*2に、きもちよくみとれましょう。河童の梅ちゃんの「さすが河童ね」っぷりもおかしいし、河童を誘惑する女の子(成田愛)の短すぎるミニスカートも、河童と三角関係になるヒロインの婚約者(吉岡睦雄)の、一本芯のとおったダサい服装も、たったキャラクターがけっきょくいいひとばっかりで、せつないようなうれしいような。
その6.ミュージカルである。わたしはミュージカルというものに懐疑的なので、こういう、ミュージカル懐議派のミュージカルはとてもしっくりきます。踊りが決まりすぎていないので、単にこころの動きですって、おめでたいかんじが大好き。いっしょに踊りたい。でもミュージカル擁護派には、こういう素人っぽすぎる河童ミュージカルは踏み絵かもしれません。
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しかしわたしに熱弁されたところで、ピンク映画のピンク部分に対する抵抗は抗えないかもしれません。それはそれでしょうがないかな。その気持ちはわかりますし。でも、この映画のなかでは、そんなにいやじゃないですよ。服をぬいだひとたちは、無防備で頼りなくて、なんだか愛すべきです。ほのぼのしちょります。

トークショーのことも書こう。おもしろかったので。この日は、いまおか監督と、脚本家・死神役の守屋さん、映画監督(など)の鈴木卓爾さん。
映画としての「おんなの河童」のはじけた様に、「俺もこういうのやりたい!」と心をゆすぶられた様子の鈴木監督。いまのところ、『監督失格』と『女の河童』が今年度のベストツーだそうです。
クリストファー・ドイルについての話が興味深かったです。「職人‥?“カメラマン”?」(いまおか)。 「こどもが遊んでるようなかんじもするんだよね」(守屋)。 「アドリブばっかだから現場は大変だったよね。アシスタントは大変、、、、だって俺がカット!って思っても、ドイルの撮影はまだ続いてるんだから。終われないの(笑)」(いまおか)。 映画の冒頭、もやがかかったような映像は、水槽ごしなんだそうです。 そういえばロッテンダム?映画祭のとき、スポーツカーのまえで女の人と大喧嘩するドイルを見かけたという鈴木監督。「荷物の置き方が原因らしいんだけど(笑)、ファック!ファーック!ってすごいの。クリストファー・ドイル、イメージどおりだ〜 なんて嬉しくなっちゃって」。
この映画はいつ作られたものなんですか?映画を観ると、あの3月より前に作られたのか後に作られたのか、それが気になって‥。という鈴木監督に、俺はあんまり気にならないんだ、といういまおか監督。わたしも映画観てるときはそんなこと気にしなくて、気にしないことに罪悪感を持たなきゃいけないのかなあ、などと思っていたので、フラットなこの感想はうれしかった。ファンタジックなようでちょう現実派なんだと思う。現実派だからファンタジーにひかれるのかも。いずれにしても。

*1:ポレポレの回数券持ってるんだけど、ちゃんと写真がついてるやつが欲しいおたく心よ俺の心よ

*2:高校時代のあだ名が「チャゲ」というのもおかしい。本名が明日香だからあだ名がチャゲか、ってひとりで!とふきだしてしまった