オフィスコットーネプロデュース 赤色エレジー @下北沢スズナリ

麗しのたまきさん IN 赤色エレジー。しかもウィズあがた森魚‥!
こうふんしつつも一抹の不安が胸にあったのは、たまきさんはわたしにとって、舞台あらしだから(たまきさんの美しさにあてられ、物語の進行とかドーデモヨクナッてしまう)。でも赤色エレジーなら、あらすじ知ってるからいいか。

フィスコットーネプロデュース 赤色エレジー
 
1960年代に起こったカウンターカルチャーと反体制運動の猥雑なうねりのなか、月刊漫画ガロに連載された林静一氏の代表作『赤色エレジー』。本作品は、その「赤色エレジー」をモチーフに、演出家天野天街・フォークシンガーあがた森魚の異色の組み合わせでお贈りいたします。あがた森魚が弾き語り、天野天街の繰り返し編み出される言葉、ことば、コトバ、時間にかぶさるように流れる映像、不思議な匂いのするダンス。ザ・スズナリに、時空を超えた世界がひろがり、その歪んだ天野ワールドにぐいぐいと誘います!
原作:林静一「赤色エレジー」/脚本・構成・演出:天野天街/音楽:あがた森魚/プロデューサー:綿貫凛/出演:あがた森魚緒川たまき寺十吾、石丸だいこ

ああああああ‥。やはしたまきさんは美しかった。
たまきさんはヒロイン幸子役なので、2時間舞台にあがりっぱなし。わたしは姿を拝みっぱなし。なんてありがたい。立派なコメディエンヌになられて‥。爺はうれしゅうございます。そう、コメディエンヌ。ねこのきんたま草なんて言っちゃう。 ヘヘヘエなんて笑っちゃう。美しいうえに相当かわいい‥(気絶。やられたー)。

コミカルな言葉あそび、くりかえされる反復。けむにまかれながらも、向かうしかない別れ(‥赤色エレジーの物語を知らない方いたらすみません。昭和の頃、若者の貧しい同棲生活のはじまりからおわりの物語なのです。四畳半フォークの金字塔)。たまきさんのド美しさは、もはや天女じゃないですか。あんな美しい人が、いつまでも地上にいるわけないじゃないですか。遠い異性というか、ここで笑っていてもいつか去ってしまう予感をはらんで、コミカルな演技を見ながらも、胸重くせつなくなって、説得力ありました。

このお芝居が全国を巡回するならついていきたいのに、スズナリで5日間だけの上演だなんて、もったいないというか正気の沙汰じゃない。

あ、気になるあがたさんは、唄で狂言をまわす役(いちおうイチロー役)(一郎役はちゃんと青年がやってます念のため)。「春の嵐の夜の手品師」や、(もちろんの)「赤色エレジー」など、5曲ばかり披露してくださいました。弾き語りじゃなくて、バンドをひきつれて。ちくしょう、なんてかっこいいんだ。あがたさんの唄声がBGMだなんて、なんて豪華な舞台なんだ‥(思い出しむしゃぶるい)。

ほんとにね。世の中にこんなにすばらしいものがある。それを知っただけでうんと強くなれるよねえ。胸に残ったきらきらを大事に抱えた帰り道。