おとぎ話みたい(2013) @新宿K's cinema 〜moosic lab 2013〜

おとぎ話みたい (2013)
 
監督・脚本・編集:山戸結希/音楽:おとぎ話/撮影:今井孝博/出演:趣里岡部尚、おとぎ話、小林郁香、椎名琴音、前田多美/製作:寝具劇団/カラー/60分
彗星のごとく現れ、革命的処女映画「あの娘が海辺で踊ってる」が一躍センセーションを巻き起こしている新世代ファンタジスタ・山戸結希が、ロックバンドの名手・おとぎ話と、MOOSIC LABの枠におさまらない音楽映画の更新めがけて、青春と光の爆撃を、少女の遺作を、今だけの花火を打ち鳴らす!

去年「処女の革命」に立ち会って以来、山戸監督作品は出来る限り観よう、と心に決めているわたし。2月には「あの娘が海辺で踊ってる(三回目)」「Her Res(三回目)」「映画バンもん!(初回!)」の三本立てにも出かけ、最新作「映画バンもん!」に見る技術力の向上(とバンもんメンバーのチャーム!&めちゃくちゃな世界が成立しちゃっている感動)に目頭を熱くしたものです。同時に、無防備な少女もいろいろな術を見に付けちゃうんだな、と少しさびしくなりました。そして今回の「おとぎ話みたい」。プロの女優さんが主演だということその他に少し不安を感じていました。洗練されたら失ってしまうことってあるじゃないですか。でもそれは杞憂だった。頼もしいったらうれしくなっちゃう。手足の長いナチュラルボーンバレリーナな少女の持つ、外見うらはらの無様な願い。だって初恋だもん。大切にしたいと強く思うあまりにこなごなにしてしまう愚かさは少女性。かさぶたを剥がすみたいな映画でした。
あ、書くの忘れてた。映画の技術力?が上がったことだけど、技術力って力じゃないですか。上がるのはいいことだよね!と素直に思えた(当たり前‥?)。いろいろ整えたなかでの暴走せざるを得ない思いに胸をつかまれたので。
あ、おとぎ話のことも書くの忘れた。「おとぎ話センパイ」は意外に?映画栄えしてた。みんないい人に見えた。 有馬青年がむしろ可愛く?見えて映画のこわさを感じた。しかしライブシーンでは趣里ちゃんの踊りばかりを目で追ってしまい歌があまり残らなかった。(「あの娘が〜」の中で富山優子の楽曲に出会うほどの発見性はなかった気がした。余談ながらエンドクレジットに、「整音:富山優子」を見つけたときはなんだかとてもうれしかった。「横道世ノ介」のクレジットに守屋文雄の名前をみつけたときもうれしかった! なんだろうあのうれしさ。好きな人同士がつながってる!というときめき)
映画が終わって女子トイレに行くと真っ赤な顔をした山戸監督が荷物置き場のところでわたわたしていて、萌え的なきもちを味わったことも日記には書いておく。

あ、同時上映だった「あの娘はサブカルチャーが好き」(モキュメンタリー)のこと書くのもっと忘れてた。いくらサブカル糞野郎っていってもここまで糞野郎じゃないよーと思いつつ痛おもしろかった。モキュメンタリーならもっとテンポよくしてほしかった気もするけどそこはリアルを狙ったのかしら。わたしはサブカル男子の醜態に苦笑してたんだけど、隣の席の男性はサブカル女子の発言にはき捨てるように笑っていた(少しこわかった)。サブカル好き*1もそうじゃない人も、まずは自分の痛さダメさを知ってから走りだそう的まっとうな青春プログラムでした。

*1:こう書くと正直ださすぎていやになるね!「サブカル」て言葉死んでほしい