丸木俊 絵本の世界 @原爆の図丸木美術館

「あざやかな色彩の交響曲」というサブタイトルどおり、モザイク細工のように、まばゆく光かがやく空。こどもや動物の愛くるしい曲線のデフォルメ(丸木俊の描くヒヨコがツボすぎる)。こまやかな描き込み。にじむインクが生命体のよう。
図録のほかに、さらりとしたラインが安野モヨコチックでかあいらしい「ロシアのわらべうた」の復刻版購入。イラストもだけれど、わらべうたの詞が朴訥でいいかんじ。かわいくてたのしいだなんて最強だな。復刻版のサイズのほどよさといい、さすが架空社さんと思わずにいられない。

ロシアのわらべうた

ロシアのわらべうた

:::::::::::::::::

などと楽しげに書いてみたけれどすみません。常設展示の「原爆の図」の衝撃が強すぎて憔悴してしまい、絵本の世界展をたのしむことは出来ませんでした。(順路として、2Fの「原爆の図」を見てから1Fに降りて企画展。企画展から先に見たら集中できただろうなとは思うのだけれど、うきうき楽しいきもちになってから「原爆の図」を見るのは土下座百万遍的な気持ちになるので、‥‥。順序の問題ではないかと)
「原爆の図」、おそろしい。「原爆の図」、すごかった。感情を動かされることを感動というのなら、絵を見てこんなに感動したのははじめてかもしれない(でもあれは‥感動ではなく動揺‥)。だがしかし。「原爆の図」、ちゃんと見れてない。ちゃんと見れる日は来ない気がする。
「原爆の図」解説(→☆)。わたしは、「連作」「おおきい」くらいの前知識しかありませんでした。描かれた内容(原爆や虐殺や公害など、人間がつくりだした地獄図)もさることながら、あの大きさ・書き込みを15作も描きつづけるという気迫にやられた気がします*1

*1:ちょっと前に大道あや丸木俊の義姉。いっとき一緒に生活をしていた)の聞き語り記を読んだのだけれど、丸木俊とあまり折り合いが良くなかったようで、読みながら、「やはり芸術家というのは一緒に生活すると独特さに手を焼くのだろうか」とぼんやり推測してたのだけれど。いやなんか‥。この作業を何年も続けるというのは並の次元ではないだろうと思いました。←敬服しすぎてなんだか無礼に読めたらすみません。ちなみに大道あやは「原爆の図」のことを、「ちいとちがうなあ思いよりましたよ。でも、あれは絵じゃからね」と評していました