越後つついし親不知(1964) @ラピュタ阿佐ヶ谷

このあいだの「孤独の賭け」ではいまひとつ佐久間良子の魅力に開眼できなかったので、もう一本のこちらも。

越後つついし親不知 [DVD]

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オープニング(?)、毛筆書体でキャスト名などが踊り出るのが、やけにまがまがしくてひるむ。よし、心構え、するよ。‥心構えはしたものの、それ以上のかなしさ。観終って、床にうずくまりたくなった。なんという痛ましい物語。北国の人が怒るよ。(「雪国→夫出稼ぎ→妻ほかの男に襲われ懐妊」って「越前竹人形 [DVD]」みたいーと思ったら、原作者が同じ人(水上勉)であった。水上さん、‥アンタ怒られるよ‥。あ、「越前竹人形」同様、美人があの蓑みたいな冬服を着たときのアンバランスな美は健在。たしかにこの、美を極限まで押さえたような服装は逆にいやらしい。雪の白さが肌に反射してまぶしい‥!しかし‥。雪のなか、あの‥。凍傷になりますよお二人さん‥)
でも美人の不幸は美しい。不幸が起こってから二人で過ごす場面なんて夢のよう。かなしくいまわしく美しい夢。雪国の昔の風景も、現代の町育ちのわたしの目にはファンタジーに映る。この風景のためにもう一度観たいくらい。
三國連太郎は狡猾で自分勝手な、小沢昭一は善良な、佐久間良子はかなしい美しさと色気、それぞれの業が全開の役を演じきっていてそこもよかった*1。(あ、でもわたし的には佐久間良子より、小沢昭一の映画かも。これ‥)

*1:北林谷栄沢村貞子も持ち味全開。それにしても石橋蓮司はどこに出ていたの?と思ったら、‘坊ちゃん’であったかー‥!あのひょろながい優男‥。うわあああも一回観たい‥