乱(1985)/野獣死すべし(1959)@新文芸坐

仲代達矢 役者魂〜

乱 [DVD]

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1985年の仲代達矢(53歳・役の中では70歳)は、白眉白髪のこれぞおじいさん。うん、わたしが物心ついたときには、仲代達矢はおじいさん役だった。しかもこの映画のなかの仲代達矢は、錯乱してばかり眼ェむいてばかり、まさにイメージどおり。うん、わたしのなかでは、これぞ仲代達矢。見事にやりつくしてくれて満足。なにに満足してるんだか。それにしても黒澤明の映画って、骨太というか正面切ってというかダイナミックなのはいいけれど、女子供に対するサービス精神がないですな。おもしろかったけど。すんごい残虐シーンがたくさんあるので涙目になった。
野獣死すべし [DVD]

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1959年の仲代達矢(27歳・大学院生の役)は青二才ってかんじ。若い、若すぎる。甘いマスクがなぜか気恥ずかしい(マイベスト仲代は、30代後半とみた)。1959年‥は高度成長期が来る直前なのか?「大学を出たって安月給で働かされて、未来に希望が持てないよ」という閉塞感あふれる台詞が、いやー、今みたい。閉塞感がハングリー性につながるのか、ぎらぎら、ぬめぬめしているのは、今とは違うな。白黒画面がスタイリッシュでフィルムノワール的な映画でした。『殺人狂時代('68)』でも共演した団令子とのコンビなのだけど、仲代達矢ほど団令子のなかに月日の流れが見えないのは何故。