ツィゴイネルワイゼン(1980) @早稲田松竹

ツィゴイネルワイゼン [DVD]

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匂いたつような極楽の色彩は、映画館の暗闇のなかで観てこそ、だよなあ。なんとあでやかな。生きている人、死んでいる人。あの世とこの世との逢瀬。鏡。きりとおしの岩。腐りかけた水密桃、山盛りにちぎられた蒟蒻。あまりにまばゆすぎて仰々しいやら歌舞伎じみているやら。でもとりあえず、この世界に酔ってこそ。原田芳雄の色気と毒気に思う存分あてられてこそ。百万回言われてそうだけど、着物好きで未見の女子は見たほうがいいです‥!*1
しかし内田百間短編インスパイアがこの映画って‥。読書の無限性を感じるなあ(すみませんてきとう言いました)。まったく違う感触なので、まさかこうなるかと呆れたり感心したり。でもこの世界はこれで完成されていて、なにより美しいので。これは小説の映画化の、ひとつのパーフェクトなかたちなんじゃないかと思う。百間先生もおもしろがってくれるんじゃないでしょか。

*1:スクリーンで見るの2回目なんだけど、じっくり見たいのでDVD借りようかなあ。TV画面じゃ細部まで目が届かないんだよなあ。ところで2007年に出たデラックス版はなにがデラックスなんだろう