喜劇 女は度胸(1969)/街の灯(1974) @シネマヴェーラ渋谷

森崎東の現在〜

喜劇・女は度胸 [DVD]

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怠け者の父、家庭に無関心な母、乱暴者のトラック運転手の兄、そんな桃山家でまともなのは気弱な次男・学だけ。‥‥(チラシによる解説より)

主人公は、この学というまともな青年(河原崎建三)なんだけど。この映画のなかでまともでいることは、なんとつまらないことか。乱暴者のトラック運転手(渥美清)のほうがずうっとずうっとイキイキしていて痛快なんだもの。こんなイカした渥美清ハジメテ見たわ!(というほど渥美清見てないんだけど) 
椅子がゆれるほど笑って少し泣いた。まんべんない人間讃歌。やりすぎてるけどおもしろかった。

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街の灯 [VHS]

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一昨年スパイダース映画の虜になったので、若き日の堺正章が見たかったのだけど。チョロ松(堺正章演じる主人公)の、着ている服が。なんだろうわたしの恥のツボをつきすぎていて、悶絶するほど恥ずかしい(そしてチョロ松、本気でウザい)。この、’74年のフーテンファッションの恥かしぶりは、なんだろう。主役を直視できないのはちょっとつらいなあ。(全身のバランスとかもう、パーフェクトに恥ずかしい。痛み分けとして画像貼りたかったのだけど見付からんかった。パンチが弱いけど顔だけでもじゅうぶん恥ずかしいので貼っておきます)

チョロ松(後半はなんだかいじらしくも見えてくる。目が慣れたのか)がポン引きで生計を立てながらも清い体であるという、不毛というか不能の妙(いじわるだなあ)。ブラジル帰りのおじいさん(笠智衆。めちゃくちゃかっこいい)の、帰れない故郷。ふるさとの歌を歌いながら歩く有明工業地帯。擬似家族。ロードムービーはいいな。ラストのみんな元気に生きていこうねは、シニカルを通り越して悲しすぎる。少しぐらい元気じゃなくてもいいから、生きていたいね。