わたしたちの芹明香 @ラピュタ阿佐ヶ谷

いろいろ決めるのが苦手なわたしですが、2014年映画チラシ大賞は、間違いなく、『わたしたちの芹明香』。実物見ないとわからないかな、キラキラホログラム?で角度によって光ったりまたたいたりすごく綺麗なの。そして中を開けば解説文が愛に満ちていて。うーんどれも観たいなあって結局全作品に通ってしまった。今年の初夏はそんなかんじで明香さんとともにありました。いい季節だった。(→ラピュタHP

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(秘)極楽紅弁天(1973)
(秘)極楽紅弁天 [DVD]
日活/カラー/70分■監督:曽根中生/脚本:田中陽造/撮影:森勝/美術:渡辺平八郎/音楽:月見里太一■出演:片桐夕子、芹明香、薊千露、山本涼、長弘丹古母鬼馬二、織田俊彦、橘田良江、吉野あい、小森道子 /4月19日(土)〜28日(月)
デビューこそ東映だが、芹明香といえば日活ロマンポルノであり、その記念すべき出演第一作。江戸の貧民街で暮らすフーテン娘で、すでに芹らしいアンニュイなセリフ回しは完成形。しかし曽根中生監督いわく「片桐夕子と一緒に、脱ぐのがイヤだとスタジオから逃げて、二人で肩を抱き合って泣いていた」そう。本作のふてぶてしい、芹の自由奔放さからは意外に思える純情な逸話。底辺で暮らす人々の自由なバイタリティに魅了される一作。

こんなかわいいこと解説に書いてあるけれどスクリーンにあらわれるのは不機嫌にすれっからしコケティッシュな娘さん。芹明香としていきなり完成されている。頼りになるやらおかしいやら。貧乏長屋の裏・清純派。表清純派(もはやアイドル)の片桐夕子にも負けてない可憐。登場人物みんなしてバイタリティにあふれていてなんて頼りになるの!わっはっはーとおもしろかった。映画も人生もお祭りだあね。

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狂棲時代(1973)
 (Amazonではソフト該当なし) 
日活/カラー/69分 ■監督:白鳥信一/脚本:いどあきお/撮影:前田米造/美術:川崎軍二/音楽:月見里太一
■出演:風間杜夫、山科ゆり、司美智子、絵沢萠子芹明香長弘、堺美紀子、清水国雄、しまさより、加納愛子、相川圭子/4月29日(火)〜5月9日(金)
予備校生の公平(風間杜夫)は母と二人暮し。鬱屈がつのる彼はガールフレンドの典子(山科)にセックスを要求して拒まれ、声をかけてきたホステスともうまく果たせず、思わず公園で野宿していた家出少女を強姦してしまう。脚本家のいどあきおは、その後いどと芹にとっての代表作となる『(秘)色情めす市場』を執筆する。彼の葬儀の際、芹はいどの妻と目が合った瞬間、電流が走ったように心が通じ、お互い無言で涙を零し始めたという。

この映画のなかの明香さんは聡明な女子大生。意外じゃない?でもなんかこれはこれでお似合い。聡明だからしあわせなのかしあわせだから聡明なのか‥。ちゃちゃっと手際よくお肉と野菜をいためて「美味しいのができたよ〜」なんていい女すぎるんだけど。つくづく女優って夢なんだな‥!と感じ入りました。こんな役明香さんらしくないって声もあるかもしれないけれど、わたしにはまったく問題なし。これはこれでおおいにあり。素敵な夢でした。(映画も鬱屈した予備校生を風間杜夫が好演していて、あらためて役者さんてすごいってなりました。下手な人だったら目も当てられないかんじの役を魅力的に。役者稼業が夢ですな)

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濡れた欲情 特出し21人(1974)
 (Amazonではアダルト商品となるため表示されず)  
日活/カラー/77分■監督・脚本:神代辰巳/脚本:鴨田好史/撮影:姫田真佐久/美術:渡辺平八郎/音楽:世田のぼる■出演:片桐夕子、芹明香絵沢萠子、古川義範、外波山文明、高橋明、粟津號、吉野あい、宝由加里、東八千代/5月10日(土)〜16日(金)
神代辰巳が模索し怪作を連打する中で、自信を持って己のスタイルを確立したのが本作ではないかと思う。そして神代といえば歌謡映画であり、本作で芹が歌うは梶芽衣子の『怨み節』。同じヒモに操られる片桐夕子とのレズ的な三角関係。しかしそれも続くわけではなく、全員ひたすら鼻歌を口ずさみ、三人とも流れ流れてとりあえず映画に「終」の文字は出るが、まさに切り取られた人生同様なんら終わっちゃいない。映画に終幕なんて必要ない!

明香さんもいいけれど、片桐夕子もかなりよい。なのでとても華やかな映画でした。ストリップものはロードムービーのロード部分が乾いててかっこよい。明香さん歌のCD出せばよかったのに‥。

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この頃は仕事が忙しく、残業を適当なところで切り上げ・会社を出て走ってJRに駆け込む日々でした。電車のなかでパンを食べて阿佐ヶ谷で降りる、みたいなリズム。阿佐ヶ谷でレイトショーだからあちこち開拓しちゃおう!なんて思っていたのに夢やぶれたり。今思うとバタバタしすぎて曜日感覚もなかった。この頃金曜日にレイト行っても全然解放感なかったもん。でも解放感ないながらも、今思うとこのレイトショーがあってよかった。生活にメリハリを潤いをありがとう明香さん。

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四畳半襖の裏張り しのび肌(1974)
四畳半襖の裏張り しのび肌 [DVD]
日活/カラー/81分 ■監督:神代辰巳/脚本:中島丈博/撮影:姫田真佐久/美術:土屋伊豆夫■出演:宮下順子、丘奈保美、芹明香絵沢萠子江角英明、吉野あい、中沢洋、高橋明、花上晃/5月17日(土)〜23日(金)
昭和初期の芸者置屋を舞台に、網の目のようにもつれる男女関係を描く。正太郎はおかみ花清(宮下)の息子だが、小さい頃から芸者と同じ部屋で寝起きしていたためか早熟に。店の者全員と寝た挙句、預けられた映画館でも経営者夫婦をトリコにしてしまう。芹は芸者小ふく役。正太郎の子を身ごもったため、よりによって花清の旦那に水揚げしてもらう、したたかだが諦観の果てに澄んだ笑みのある娘。「男と女にゃあれしかないよ、バンザイ」。

前に観たことあるかと勘違いしていたけど初見だった、ので意外な展開、しのび肌の持ち主に唖然とした。ひゃあ‥。なんというか自由だなあ(詠嘆)。ニヒルだなあ。ニヒルな世界にニヒルな女優さんか‥。吹けば飛ぶような明香さんの万歳姿になんともいえない気持ちに。

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赤線玉の井 ぬけられます(1974)
宮下順子:赤線玉の井ぬけられます (<VHS>)日活/カラー/78分 ■監督・脚本:神代辰巳/原作:清水一行/撮影:姫田真佐久/美術:横尾嘉良■出演:宮下順子、丘奈保美、芹明香、中島葵、絵沢萠子、吉野あい、殿山泰司江角英明蟹江敬三、益富信孝、前野霜一郎、高橋明/5月24日(土)〜30日(金)
売春防止法の施行が目前に迫った赤線地帯の特飲店「小福」。その新春の一日を過ごす娼婦たちを捉えた群像劇。やくざに惚れこんだ女、一日で客を取った数の新記録を樹立しようと思い立つ女、ずっと情夫も足抜けもできない孤独な女……。芹明香が演じるのは水揚げされて結婚したが、夫とのセックスでは満足できない公子。「小福」へふらりと舞い戻る、紫と黄色のワンピースを着た芹明香の、結髪で映える瓜実顔。昭和モダンな佇まいが絶品。

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(秘)色情めす市場(1974)
(秘)色情めす市場 [DVD]
日活/パート カラー/83分 ■監督:田中登/脚本:いどあきお/撮影:安藤庄平/美術:川崎軍二/音楽:樋口康雄■出演:芹明香花柳幻舟宮下順子絵沢萠子萩原朔美、岡本章、夢村四郎、坂本長利、高橋明、小泉郁之助、榎木兵衛/5月31日(土)〜6月6日(金)
芹明香、女優人生における代表作。大阪の西成に暮らす娼婦トメは、母親(花柳)との軋轢や、地元の売春を仕切るやくざの脅しに屈することなく、一人で西成という土地を生き抜いていく。実際にあいりん地区でカメラを回しドキュメントタッチで撮られ、荒んだ特殊な土地の空気を写し取った、田中登監督渾身の作品。芹はほっそりした肢体でふわふわと、寄せ場の不穏さの中に溶け込んで漂うように歩く。芹自身、生涯の一作と自負する傑作。

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この頃、上映前に流れるBGMにめす市場のサントラが使われており、それを耳にするたびに、やっぱサントラ買うべきかな‥と思い。amazonをのぞくとプレミアで倍以上の値段になっていた。ぎょえい。

秘色情めす市場~日活ロマン・ポルノの世界

秘色情めす市場~日活ロマン・ポルノの世界

このCDが発売されたのわりかし最近の気がしていたけど、それは中年時間のことだったか。ぼんやりしているあいだにこんなことに‥。ないと思うと欲しくなるのが人情ではあるけれど、この値段は出したくないし実際出せないや。未練がましくタワレコオンラインをのぞくと、「とりよせ・注文」で買えるってナッテルヨ?
ダメもとでオンライン注文してみると、数日後に「入荷しました」の知らせ。なんだ普通に買えるんじゃん。すべてのamazonプレミアムがこんなことになっているわけではないだろうし、こうやってプレミアがつくのも商売ではあるけれど(そしてのんきにとりよせなんかしてる時間がないの、今すぐ欲しい!っていうひとにはいいのかもしれないけど)、でも。消費者っていろいろためされてるなーと思わせられる買い物でした。(賢い消費者らしくタワレコのポイントがいっぱいつくときに注文したことも日記には書いておく) (ちなみに今はamazonでも新品が定価で買えるようです)

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仁義の墓場(1975)
仁義の墓場 [DVD]
東映東京/カラー/94分■監督:深作欣二/原作:藤田五郎/脚本:鴨井達比古松田寛夫神波史男/撮影:仲沢半次郎/美術:桑名忠之/音楽:津島利章■出演:渡哲也、梅宮辰夫、多岐川裕美、安藤昇ハナ肇成田三樹夫田中邦衛芹明香/6月7日(土)〜13日(金)
田中登監督の『(秘)色情めす市場』が映画界に与えた衝撃は大きかった。東映深作欣二は本作を見た後、一升瓶を持って田中の元を訪れたという。そしてその後撮られたのが本作。実在の破滅的に生きたやくざ石川力夫を、渡哲也が病み明けの凄惨さで演じきった、実録やくざ映画の極北。芹は釜が崎に流れついた渡にヘロインを教える娼婦役。『(秘)色情めす市場』の儚い姿の奥に秘めた生命力とは真逆の、ぞっとするほど静謐なセピア色の地獄絵図。

映画全体のトーンが異様にザラついていて観ていてなんともいえない気持ちになりました。明香さんの出番は少なくて、たぶんこの特集の中で一番登場シーンが少ないのだけど、インパクトというか観る者の胸に残す不吉でいて美しい面影はものすんごく大きく。重苦しい残り香のある花みたいでした。
この映画を観たとツイッターでつぶやいたら、Wikipediaのページを見るよう教えてもらったのですが、なにこれ気が狂ってる‥。(Wikipedia(→☆)) わたしがいちばん衝撃を受けたのは、「本作は田中登の『㊙色情めす市場』に強い影響を受けている。田中いわく「『めす市場』と全カット真逆の映画」。深作は『仁義の墓場』を制作するにあたり、スタッフに『㊙色情めす市場』を16回観せたという。」というところで、何度読んでも理解できないながらもものすごい熱を感じます(特に太字部分)。どうせ理解できないんだけどそのことを頭にたたきこんでまた観たい。観なくては。

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赤線本牧チャブヤの女(1975)
 (Amazonではソフト該当なし) 
日活/カラー/69分 ■監督:白鳥信一/脚本:佐治乾/撮影:畠中照夫/美術:大村武/音楽:穂口雄右■出演:ひろみ麻耶、片桐夕子、二条朱実、芹明香、山科ゆり、絵沢萠子、信太且久、あべ聖、坂本長利、小泉郁之助/6月14日(土)〜20日(金)
昭和十一年、横浜の特飲街にある太陽ホテルに売られてきたアキ(ひろみ)は、徐々に女として磨きをかけられ、床上手の売れっ子となっていく。チャブヤと呼ばれる本牧の娼館を舞台にした群像劇。白鳥信一監督が『赤線最後の日 昭和33年3月31日』('74)に続いて、二・二六事件も背景におきながら、時代に翻弄される娼婦たちの運命を愛惜とともに描く。芹はアキに、感じているように見せる演技のテクニックを披露する娼婦、照子役。

たぶん、プログラムを組むうえで、「めす市場」をどこに置くかはけっこう重要な問題だったと思うのだけど。実際、めす市場の上映が終わったあとしばらくは、うっすらぬけがら。去年の言葉でいえばめすロス的な気持になりました。奇跡を目撃しちまったわしら(しかも観るたびに奇跡に気付かされるってやっぱり、どう考えても、もんのすごいじゃないですか!ふう‥)奇跡がなんだかうっすらわかるだけに、今後なにをどう待って過ごせばいいのかって。(あと、プログラム作品を折り返して、全作観ることが実現化しかけて、自分のなかで目標から義務に変わって気が重くなってしまったのもあるかと思う。たのしんで・自発的に始めたことが義務めいてきただけでこんなに気が重くなるなんて。趣味を持つのはやっかいだ。「だからたのしいんだよ!」って毎日そのテンションでいられたらいいのだけれど、実際そんなひと、つきあいづらいし)
しかしこの『チャブヤの女たち』で復活!戻ってきたよこの世まで。チャブヤ、なんだろうすごく好きな映画でした。舞台が横浜の本牧あたりというのもときめきますが(地元っちゃ地元なもので。へへ)、チャブヤの女たちの悲しさや優しさ、気高さや色気にほんとうにうっとりした。悲しいことってよくないのだけど、こんな素敵な副産物があるのなら。や、ほんとにかなしいのはだめなんだけど。うーん難しい‥。

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濡れた欲情 ひらけ!チューリップ(1975)
 (Amazonではアダルト商品となるため表示されず)
日活/カラー/76分 ■監督・脚本:神代辰巳/脚本:岸田理生/撮影:前田米造/美術:徳田博/音楽:山本正之■出演:芹明香、石井まさみ、安達清康、谷ナオミ、二条朱実、丘奈保美、奈良あけみ、松井康子、浜村純、江角英明小松方正高橋明間寛平/6月21日(土)〜27日(金)
舞台は大阪。駆け出しのパチプロ洋は、ライバルであるクギ師の明にパチンコ勝負で十連敗中。しかしこの世のバランスなのか、童貞から脱することのできない明の惚れた女性、牧子(芹)は洋にぞっこん。神代辰巳の映画は鈴木晄による編集と、登場人物たちの無駄な運動性が凄まじい。ラーメン屋台を引いて、ワンカット長回しで走り続ける場面の躍動感は必見。元スケバンという設定の芹のカミソリさばきと、胸に迫る仁義の切り方を見よ!

明香さんのコミカル、お茶目でかわいかった。映画全体がコミカルでお茶目。まあアダルト商品のお茶目さですけど(だからコミカルが横滑りせずたのしめるんだな)(でも映画のなかいちばんお茶目でかわいいのは間寛平かもしれないの。どうしよう‥)。

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 札幌・横浜・名古屋・雄琴・博多 トルコ渡り鳥(1975)
 (Amazonではソフト該当なし)
東映京都/カラー/82分 ■監督・脚本:関本郁夫/脚本:猪又憲吾/撮影:中島徹/音楽:荒木一郎■出演:芹明香、東龍明■ナレーター:山城新伍/6月28日(土)〜7月4日(金)
トルコにまつわるドキュメントと、全国津々浦々の店を流れていくトルコ嬢ひろみ(芹)と、ヒモの利夫(東龍明)のドラマ。実際の移動中や撮影の合間にカメラを回して撮った、芹明香の素顔の可愛らしさ。映画でいつも求められる頽廃とは違う、屈託のない笑顔に目を奪われる。ヒモとの腐れ縁、雪の中でショールを巻いて歩く竹久夢二の絵から抜け出てきたような美しさ、そして彼女の十八番な放尿シーンなど、あらゆる芹明香の詰め合わせ。

初日にでかけたら監督さんがいらしていて簡単な舞台挨拶がありました。何十年も昔の映画で雨降りで、人がはいっていなかったらさびしいなとサクラのつもりで知人に来てもらい、いざ始まってみるとこんなにたくさんのお客さんがいることをとてもうれしいと。しかし昔の作品を見直すのは昔の恋人に会うようで、自分のいたらなかった点を見なくてはいけないのがこわい気がすると。当時は実録流行で、実録物の助監督をした経験からこの実録トルコものの監督の話が来たけれど心中複雑で。自分としては主人公のトルコ嬢と、そのヒモである青年の青春映画のつもりで監督したことなどだったこと、など。昔というのは40年前、監督が33歳の頃だと穏やかに語られました。
映画の上映が終わり、観客は監督に拍手を送り。もう一度簡単な挨拶。「昔の作品を見直すのでどれだけ恥ずかしい思いをするのか覚悟をしていたのだけど‥。ーなんだろう、おもしろかったですね。なんなんでしょう。実録部分はいやだったんだけど、会社に言われてやったことだったんだけど、あそこもいいですね」。これを聞いてもう一度おっきな拍手。なんだろうとてもしあわせな上映だった。
実際ふたりの青春部分は(実録をはさむことによるのだろうけど)かなりウェットなので、今あるこれが黄金比になってるのだもの。
解説にあるように、ノーメイクのあどけない寝顔、トルコ嬢ですものしどけない素っ裸、冬の景色が多いから私服はマキシ丈でその肌をシャットアウトするように隠して、かと思えば裸タクシーという新ジャンル、ほんとだ明香アラモード。ありとあらゆる表情の、どれもが魅力的で困ってしまう。しかしヒモ役のもこれまたどうにもおそろしい説得力でした。厄介なチャーム全開。こういう人に惹かれる気持も、こういう人に惹かれたら女はダメになるのも、どっちも痛いほどわかるかんじ。おそろしや‥。

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喜劇 特出しヒモ天国(1975)
 (Amazonではソフト該当なし) 
東映京都/カラー/78分 ■監督:森�啗東/原作:林征二/脚本:山本英明松本功/撮影:古谷伸/美術:吉村晟/音楽:広瀬健次郎■出演:山城新伍池玲子芹明香カルーセル麻紀川地民夫、川谷拓三、絵沢萠子、森崎由紀、殿山泰司藤原釜足/7月5日(土)〜11日(金)
近年再評価が高まる森�啗東が、東映へ招聘され制作した傑作!ストリッパーとヒモたちの悲喜こもごもを、怒涛の如く描いた群像劇。芹明香はアル中の浮浪者だったところを拾われ、ストリッパーとなったローズを演じる。彼女のせいで堅物刑事からヒモに淪落する、川谷拓三との掛け合いが楽しい。芹はけだるい喋り方のまま破天荒な面白キャラとなり、東映の大輪の花・池玲子さえ凌駕する存在感を放つ。生死の火花と哀歓がほとばしる祝祭的作品。

前からうすうす思ってた。天国と地獄は同義語だなって。ヒモ天国はヒモ地獄。ヒモ地獄はヒモ天国。どちらも大差ない。どちらも同じ場所のことなんだな。8週間続いたこの特集のラストがこの映画だってとっても素敵だ。殿山泰司アナーキー説法で始まり、女たちの歌声で終わるこの映画で。明香さん素敵な夢をいっぱいありがとう。