イントゥ・ザ・ワイルド(2007)@ギンレイホール

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

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この映画を監督したショーン・ペンのこともロードムービーというジャンルも好きなので、期待して望んだ。そのせいか、けっこうへこんだ。横で観ているKから「感動してます」オーラがでていて寂しい気持ちになった。寂しさは何への第一歩なんだっけ。ネタバレ?するのでたたみます。

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実際にあった出来事をもとにした映画らしいのだけど。物質社会を捨て荒野アラスカで生活し、そこで命を落とした青年の物語なのだけど。物質社会への反撥というより両親への反撥に見え、青年にとっては家庭のなかこそが荒野だったのだなとやるせない気持ちになった。ご両親にはご両親の、事情があるのに。青年が見て絶望的な気持ちになった夫婦喧嘩も、当人たちには愛情パフォーマンスに過ぎないかもしれないのに(まあそれを繊細な子供に見せるのはダメ絶対とは思うけど)。
基本的にわたしは、ナイーブ過ぎる人は苦手。付き合いにくいから。それで青年に感情移入できないのかなあ。真面目な人は他人のことを傷つけるときも真面目だからやだな、その真面目さで自分のことも傷つけるからやだな。でも若者にそんなことを訴えても無意味だろうな。届かない思いについて考えながら映画を観た。せつなかった。(以下、ネタバレというかラストシーンに触れますのでご注意ください)

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ラストシーン、死の淵で青年が見る幻想。それは、両親のもとへ帰り、その胸に抱かれる・抱きしめる光景。彼の旅の出発点がそこである以上、帰る場所もそこだったのに。ショーン・ペンは、このシーンのために映画を撮ったのではないかな。帰れなかった青年のために、残された家族のために。すべての届かない思いのために。へこんだけれど、真摯な映画。