あらかじめ失われた恋人たちよ(1971)/帰ってきたヨッパライ(1968)
【あらかじめ失われた恋人たちよ】
1971年/モノクロ/123分/監督:清水邦夫・田原総一朗
物寂しい日本海の町で青年(石橋蓮司)が出会ったのは、マシンガンのように言葉を放つ自分とは対照的な唖の男女二人組(加納典明・桃井かおり)。二人に惹かれた青年は彼らと行動を共にするようになるが、次第に以前のような饒舌さを失っていき…。ワンシーン出演だが、緑魔子扮する狂気の女が石橋蓮司を追いかけまわす図は見逃せない。「あたしって、愛情が強すぎるのかしら?」
でたな。ATG映画。ATG映画を気恥ずかしく思うのは、自分がその時代にいたらどっぷりはまったにちがいないことがわかるから。ヌーヴェルバーグ・イン・ジャパン。かっこよさとはずかしさのせめぎあい。青春だなあ。
寂しい日本海を歩く歩くロードムービー。言葉を持たない恋人たち。光も失くす恋人たち。観念的だけどかっこいい。デビューまもない桃井かおりはういういしい外見(つるんとした肌とあどけない表情。アイドルみたいなかあいらしさ)で肝っ玉ラブシーン(もはやカラミ)を披露(根性すわってるなあ)。石橋蓮司の若い頃の、あのうすらきもちわるいかんじは凄い(特にかっこよくないところがかっこいい気がするマジック)。それにしても「あ、この人かっこいい。‥どこかで見た顔だけど誰だったかなあ‥」と思った男が加納典明だと知ったときのダメージたるや。
この映画のなかの緑魔子は、気のふれた美女。ほんとにワンシーンだけれど実に鮮やかで、ここだけカラー映画のような印象が残る。
1968年/カラー/80分/監督:大島渚
- 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
- 発売日: 2008/08/27
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「天国よいとこ一度はおいで…」。大ヒットを記録したフォーク・クルセイダーズの同名曲をモチーフに作られた、大島渚による異色アイドル映画。大学最後の思い出に日本海へ遊びに来た悪友3人組は、泳いでいる隙に衣服を盗まれ‥(以下略)
でたな。バンドのアイドル映画。つうことはGS映画のハシリ(勝手すぎる解釈)?*1 そういうわけでおもしろかった。ぐちゃぐちゃなコメディ映画とみせかけて政治問題アジテーションで終わるのは、時代色なのか大島渚なのか。
この映画のなかの緑魔子は、ワケありの美女。物語の進行にそって、実に自然に衣装をとっかえひっかえしてくれてひそかにサービス満点。お風呂のなかバストショットを披露してくれるシーンより、下着をつけないで薄手のシャツをひっかけた「見えそうで見えなさそうで、見えてる」シーンのほうが色っぽいことについて、朝までじっくり考えたい(うそ)。ミリタリールック、ボーイッシュでかわいいなー。