非行少女ヨーコ(1966)/僕は天使ぢゃないよ(1977)

緑魔子伝説 @シネマヴェーラ渋谷

非行少女ヨーコ [DVD]

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この映画の緑魔子は、非行少女というより家出少女*1緑魔子って不運な役がなかなか似合う。すごい不運な目にあいながら、あの大きい目でじっと闇を見て、あの声で「ここもなかなかいいところ‥」なんて呟いてほしい。ヨーコはまだ若いから、サントロッペを目指すけど。つうわけで魅力の出し方がどっちつかずで少々物足りず。BGMのジャズがかっこよかった*2石橋蓮司のオネエ言葉(職業が美容師のタマゴだから←ってあっさり受け入れていいのか)・長身をクネクネさせる図は、やりとげていてなかなか爽快。寺山修司が一瞬だけ出て良い声を聞かせてくれたり、大原麗子がきゃわいかったり、こまかい見所も。
僕は天使ぢゃないよ [DVD]

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91年にレイトショーで観て以来*3。あのときは、「‥うわあ‥。素人くさい貧乏っぽい映画だなあ」と閉口した。ごめんなさいごめんなさい。でも、古い日本映画を見慣れていない小娘が、好きなミュージシャンが昔作った映画を観に行った感想としては、しごくまっとうだと思う。あれから月日が流れ、古い日本映画を観るたのしみを知った今のわたしが観たら、きっと新たな感想が持てるはず!そう思ってたのしみにしてたのだけど。新たな感想は持てたけど、わたし、いつまでも、この映画を冷静に観ることは出来ない気がする‥。
だって色々。青春がアングラな表現があがた森魚の若いお顔がおどけた様子が(つまりこの映画の八割が)。はずかしすぎるー(萌えではない)*4。あと、やっぱりどうにも素人くさい。でも、その素人くささがへんに愛しいのは、ファンの欲目かなあ。そもそもあがたさんが可愛く見えるのも、ファンの欲目かなあ。幸子(ヒロインの無名の女優さん)と一郎(あがたさん)のチャームの差がすごすぎて、そりゃ二人は別れるしかないわ、と思えてしまうのだけど、これは物語の説得力としてプラスなのか、映画のバランスとしてマイナスなのか、公平なジャッジが出来ない(煩悶)‥(しっかりして!いつも公平なジャッジとかしてないから!)。
たぶん、映画としては特におもしろくないのだけれど、1974年の音楽と青春の記録としては実に豪華で魅力的なんじゃないでしょうか。(サントラ?はとても素敵です!)
この映画のなかの緑魔子異常に色っぽい)は、飲み屋の女・一郎の母、美しく包容力のある、ゆめの女性像二役。魔子さんの大ファンであるあがたさんが、「ほんとは魔子さんをヒロインにしてこの映画を作りたかった」と言ったのを聞いてしまったせいか、膝枕されたり一緒にお風呂入ったりするシーンが、妙にせつなくほほえましく映る(実質上のヒロインは魔子さんでは‥。と思わなくもない)*5。幸子役が魔子さんだったら‥。幸子と一郎の力関係は恋模様はどうなっていたのだろう。どこにもない映画は、たしかになによりも美しく切ない。

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どうしても「僕は天使ぢゃないよ」が観たかったのでKをヴェーラにつきあわせたら、案の定居眠りしてた。わるいことした。

*1:不良行為は睡眠薬くらい。睡眠薬のシーンの撮り方、お金をかけずに効果的というか画面に酔う‥

*2:と思ったら月末のバウスシアターの爆音上映でかかるのね!さすが!

*3:当時のチラシには、「1974年にはじめて自主制作した幻の作品が長い沈黙を破ってついに一般公開」と書いてある。‥沈黙長すぎ‥。1974年と1977年のあいだにすでに3年あるし

*4:ぎゅんぎゅんしません(断言)

*5:映画としては失敗点が目につくけれど、魔子さんの美しさ気高さぶりはそうとう称賛されていいのでは