大乱歩展 @神奈川近代文学館

 
本展は、日本の探偵・推理小説界を確立した巨人・江戸川乱歩の生涯と作品を紹介する展覧会です。
江戸川乱歩(本名・平井太郎)は1894年(明治27)、三重県名張町(現・名張市)に生まれ、早稲田大学を卒業後、職業遍歴を経て1923年(大正12)に短編「二銭銅貨」でデビューしました。その後も「D坂の殺人事件」「パノラマ島奇譚」「陰獣」「黄金仮面」「黒蜥蜴」「怪人二十面相」ほか数々の作品で日本探偵小説界に新生面を開きましたが、戦時下の言論統制で創作休止を余儀なくされました。戦後、活動を再開すると、評論や内外の作家・作品紹介、江戸川乱歩賞制定、日本推理作家協会設立などに尽力し、今日に至るミステリー小説界発展の礎を築きました。
東京池袋の旧乱歩邸に保存されていた膨大な蔵書や収集資料は、現在、御遺族の平井家から立教大学へと受け継がれています。今回の展覧会では、これらの乱歩旧蔵資料をはじめとする貴重資料によって70年の足跡をたどります。(→HP

見ごたえあったー。さすが「大」乱歩展。ぎっちりびっしり資料の山。ところどころ休憩をはさんで、一周3時間余。カナブン(こんな略し方するのか知らないけど)の底力を見た。多分1日に観るキャパを超えているので、どこが印象に残るか、人によってだいぶん感想が違いそう。
うまく整理できないけれどわたしの感動ポイントとしては、
1)好きこそものの蒐集・分類。「貼雑年譜」、あれはすごい。「欺瞞系譜」の情熱と探究心に、そうでなくちゃとうれしくなる。当人としてはこういう情熱は厄介と思いつつ楽しくて堪らなかったのだろうなあ。こういうの拝めるのってしあわせだ。わくわくする。土蔵のなかの資料にもわくわく*1
2)好きに無駄なし。作家になる前の職業遍歴が、小説のモチーフとなってあちこちに顔を出すのを発見しては愉快な気持ち。
3)先駆者の苦悩。日本のミステリ一人者として娯楽と芸術のあいだで悩んだり、検閲で出版できずに書けない時期があったり、小説家のあいまに下宿をしたり‥。手探りはたいへん。 先駆者として後輩(?)たちに面倒をみてあげるのも素晴らしい。
4)時代性。「芋虫」ってまさに戦時下だったのね。そりゃ発禁やむなしというか、‥思い切ったものを書いたなあ。感心するやら呆れるやら。子供のころ図書室でポプラ社の「少年探偵団」を(少し前の時代の読み物として)自然に読んだ世代としては、その時代背景にびっくり。旧仮名の時代だなんて信じられない。あらためて乱歩の小説が時代を超越していることを実感。時代といえばいろいろな挿絵や広告記事が見られるのも楽しかった。
5)デビュー作二銭銅貨の背景にある手紙のやりとり。運命がこの手紙のなかにあるような気がして胸がたかなった。今現在はこういう手紙でのやりとりがメールに移行してしまっているので、将来こういう文学展を開催するとき味気ないだろうな。どうするのかな。
etcetc・・・(まだまだあるけど力尽きたのでこのへんで)

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飽和状態になりつつ、2階で観たことのない乱歩映画の上映会があるというのでそちらも参加。

死の十字路 [VHS]

死の十字路 [VHS]

(主催・「文芸映画を観る会」)
神奈川近代文学館は丘のうえ・辺鄙といえば辺鄙な場所にあるので、昔の映画を見にはるばる足を運ぶ人はそういないのではないかと思ったのは素人の浅はかさ。200人くらい入りそうな会議室がほぼ満席でびっくり。客層はオーバー60がメインか(みなさんご健脚なによりでございます)*2。横浜にはこういうの上映する映画館がないからかなあ?わいわいがやがやうれしい誤算。
映画は、原作の「十字路」が猟奇色薄め(もしかして皆無)なので特に破綻することもなく、手堅いミステリーだった。よく出来ているといえばよく出来ているけれど、猟奇色無くして乱歩と云えるのか‥(ぶつぶつ)*3。猟奇をとるか映画としての出来を取るか、悩んだ結果ミステリーを取ったのか。ムムムと思ったけれど、エログロを封印したらこの作品しかなかったのかも。ようわからん。それにしても乱歩映画ってたくさんあるけれど、破綻してないの観たのハジメテかも知れない。破綻‥。していなければしていないで、さびしいものなのね。

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おまけ。観たことのある乱歩映画を数えてみたら、そんなになかった(もっと観なくちゃ)*4 *5。このなかでマストをあげるとしたら「屋根裏の散歩者」か「盲獣」かな。

エログロに忠実でさすが。ビバ背徳。終わり方が好き。
盲獣 [DVD]

盲獣 [DVD]

無茶に真っ向から挑んだ気概をかいたい。船越のデカパンもいい。
乱歩地獄 デラックス版 [DVD]

乱歩地獄 デラックス版 [DVD]

全体的に明るすぎ。「何故‥!」とワナワナしながらも、緒川たまきの美人女優っぷりにまるめこまれ(誉めてます)(惚れてます)、すっかりありがたい気分。
乱歩?黒蜥蜴? [VHS]

乱歩?黒蜥蜴? [VHS]

ド迫力キャスト&演技が舞台風でつかれた思い出。ずいぶん昔に今は無き大井武蔵野館で観た。映画よりお客さんの過剰な笑い方がこわかった。ああいうお客さんのいないところで観直したいのだけど、奴らは笑いにきっと来る‥!ああこわい。

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さらにおまけ。乱歩といったらこれだもんね!(自暴自棄)

空手バカボン ナゴムコレクション

空手バカボン ナゴムコレクション

わたしが持ってるのはミニアルバム(レコード)「孤島の鬼」。叩けばホコリがいっぱいでるなあ。

*1:前の池袋の乱歩展でも、男色と残酷にスポットをあてていたような気が。べつにいいけど

*2:バスで来たのか?

*3:もともとこの映画の脚本家・渡辺剣次が原案だったりして、100%が乱歩のオリジナルではないし

*4:【盲獣】だけで3作品?あるのね。日本人は乱歩を好きすぎる

*5:押絵と旅する男】も観たのだけれど、はまぞうで探し出せなかった。まあほぼ憶えてないしね(コイツめ‥)。浅草の見世物小屋あたりの映像化がどうなっているのか見直したいんだけどな