夢みる家具 森谷延雄の世界展 @INAXギャラリー

 〜FURNITURE OF FANTASY〜
 
大正時代に活躍した家具デザイナー・森谷延雄(もりやのぶお)(1893-1927)を紹介します。森谷は、33年という短い人生のうちで、研究、家具デザイン、執筆、教育など驚くほど膨大な仕事を家具界発展のために成し遂げました。本展では、その中でも、彼の理想と資質が最も顕著に表れたデザインに焦点をあてて森谷独自の表現の世界をご覧いただきます。 (→ HP

「夢見る家具」ってなんじゃらほい。冷やかし半分でのぞいたら、ほんとに夢見る家具たちだった。その曲線のなめらかなこと。その布の質感の重厚なこと。本気なんですね。本気でお伽の国から生まれた家具たち。日常に普及するように安価で提供しようという志もまっとうで素晴しい。素晴しい人だから神様が近くに持っていかれてしまったのかしら。もし長生きされていたら日本の家具たちは日本の生活はどう変わっていたのかしら。お伽は生活とどう融合したかしら。
森谷延雄が活躍した頃の背景に「大正デモクラシー」が語られていて、1920年代の童画−‥「とくにナイーブで夢幻的な初山滋と、エキゾチックでシャープな武井武雄とはきわめて近い(↓P27)」‥−と(わたしの大好きなお二方との)共通性をあげられているのだけれど、なるほど森谷氏の描いたイラストは「赤い鳥」に出てきそうな情緒的な描線。ああいう世界がお好きなんだろうなってうかがえる。じかに交流があったのかは定かではないとされているけれど、定かではないってことは、たぶん、交流がなかったのだろうなと推測するのだけれど。推測したうえで、じかに交流がなくても、実際はこんなに近しい世界にいたのだ。魂が近い者には、面識なんてそんなこと関係ないのだ。勝手にそう思えてじーんとしてしまった。素敵な展示だったのでまた行きたい(展示は11/20まで)。

夢みる家具 森谷延雄の世界 (INAX BOOKLET)

夢みる家具 森谷延雄の世界 (INAX BOOKLET)

INAXギャラリーの本はいつもツボをついていて素敵。この本にも、ギャラリーではここまで近寄れない細部のアップ写真がたくさん。もったいのうございます‥!