パンツの穴 キラキラ星みつけた!(1990) @シネマ・ロサ〜MOOSIC+メランコフ〜

パンツの穴 キラキラ星みつけた! [VHS](1990)
カラー/87分/監督:鎮西尚一/脚本:ふかやじんいち・鎮西尚一/音楽:京浜音楽社(岸野雄一)/出演:西野妙子・毛利賢一・浅野忠信遠藤美佐子大杉漣天本英世・加藤善博・加藤賢崇広田玲央名
岸野雄一の音楽に乗ってさわやかに踊る加藤賢崇と不機嫌に踊る若き日の浅野忠信‥そして猟銃を持って暴れまわる天本英世の怪演と、アイドル西野妙子の瑞々しさ。名シーンてんこ盛りで送る、鎮西尚一監督によるジャンル特定不可能な青春ミュージカルの金字塔。

鎮西監督の音楽に対する貪欲な嗅覚には驚かされます。2009年に12年ぶりに撮った新作 『スリップ 熟女淫らに乱れて』 の音楽にHOSEの宇波拓を起用し、音楽と映画が静かに同居する世界を作り上げた今こそ、1990年のこの一作を <音楽×映画> という視点から見直してみたいと思います。− COMMENT ナガシオユウト(『メランコフ』編集部)

いやあ驚いた。なんだろう、このおもしろさ。びっくりしたなあ。少年少女が、若者と中年と老人といっしょに過ごす、夏の時間は宝物(などときれいにまとめているけどしっちゃかめっちゃかです)。つたないミュージカルシーン*1は甘酸っぱくて、この映画好きだなあ。こっ恥ずかしさをこえた先のキラキラ。ほんとにキラキラ星を見つけてしまった。しかし「パンツの穴」シリーズにこんなに感動するなんてするなんて‥*2
(以下意外に熱くながいのでたたみます)
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ヒロインを演じる西野妙子という人をわたしは知らないのだけれど、主題歌も歌っているから当時は人気のアイドルだったのかな?この人の顔も名前も把握していないから、西野妙子のかわいさは、10代半ば女の子の素直になれないかわいらしさの結晶化のように見えて(まあアイドルというのはそういうものかもしれないけれど)、じつによかった。かわいかったまぶしかった。いじらしかったにくらしかった。
まだ背の低い浅野忠信が照れくさそうに、いやいや付き合いのかんじで踊っている姿もたいそうかわいらしくてよかった。よい記念になったねえ。
この浅野忠信のように、脇をかためる人々が、わたし的に、じ・つ・に、豪華キャストでありまして。明るく朗らかに歌い踊る加藤賢宗(‥へんだよ)、猟銃をぶっぱなす半キチの天本英世(カラーの天本英世ひさしぶり)、ソバージュ・ボディコンの広田広田玲央名IN民宿。広田玲央名はウィスパーボイスでお歌も披露。こんなコケティッシュな女性をあなたは見たことありますか。この場面の至福感だけで半年は過ごせそう*3。ああありがたや。
大杉蓮はサングラスを着用しているせいか、今とさほど変わっていないので、見どころは短すぎるショートパンツ。ほんとに短いショートパンツ(思わず二度言った)で、ナニゴトかと思う。
こんなに豪華なキャストが集まるなんて、今となっては貴重資料の趣さえ。

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上映後にトークショーがありました。鎮西尚一監督といまおかしんじ監督と那須千里監督とメラニコフのスタッフの若者。キラキラ星の感想を聞かれ、「とにかく西野妙子がかわいいですね!こんな感想ばかみたいかな」。言わずにいられないその気持ち、よくわかります、いまおか監督。
子供相手に映画を撮らなきゃいけないことが、いやだったという鎮西監督。演出について聞かれ、「西野妙子はあたまのいい子だったよ」。「浅野くんがオーディションに来たときは、スタッフがみんな、オオッってなって。でもこんなの(踊ったりするの)恥ずかしいし、夏期講習があるからって、一度断られてるんだよね」「説得というか、だましだまし映画にでてもらったみたいなかんじ」「こんな恥ずかしいことできない、って言われたんだけど、「俺もだよ!」って答えて‥」。
「ミュージカルについてスタッフが出来るのは、歌いだすまで、なんですよ。歌が始まっちゃうと、あとは役者さんにまかせるだけで、スタッフには、もう、なにもできないから。どう歌うところまで持っていくかっていうね」「‥それは、ピンク映画でいうところのカラミみたいなものですか?カラミにもっていくまでが肝心、みたいな」。こんなふうに水を向けるのは、来月のポレポレで鎮西監督による「シリーズ青春H ring my bell(→HP)」が上映されるから。新作が見られるなんて、それはたのしみ。(いまおか監督も、また「青春H」やるそうです)(いまおか監督の次回公開作はミュージカルだそう(ほんと?)。とりかかるまえにこの映画を見て、こういうミュージカルでもいいんだ!と力づけられたんだとか)
ミュージカルと言われて驚くのは、脚本の段階ではまったくミュージカルシーンはなかったということ。手を加えていくうちにいつのまにかミュージカル映画になったのだとか。‥そんなことある!?
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トークショーのあいだじゅう、携帯をいじってけんそーくんのツイッターをチェックしていた鎮西監督。けんそーくんは急遽このトークショーに参加することになり、道を急いでいるのです。今、新宿を通過したみたい‥。しかしけんそーくんのダッシュもむなしく、間に合わないままおひらき。残念だったな、と思いつつ、駅に向う帰り道。ロマンス通りの入り口のところで、ロサへ向う(であろう)けんそーくんとすれ違った。モウ遅い‥。遅いけどテコテコ走るけんそーくんはやっぱりいいひと。などと思った帰り道。

*1:わたし今まで、ミュージカルって苦手だったけど、ミュージカルこそ、わたしの好きな、「でも、やるんだよ!」の世界かもしれない。‥でもあの指先がそろってピッとのびた姿はムズムズムズムズするんだよなあ

*2:でも「パンツの穴」、一作目は鈴木則文監督なんだよね。あなどれず。これも観なくちゃ

*3:この場面のためだけにソフト購入を考えたけれど、どうやら今のところビデオだけなのね残念