刊本作品 −武井武雄が創った奇跡の美書たち− @イルフ童画館
(日記ためちゃってるんだけど。11日(日)(9:00〜)の日曜美術館(3ch)でこの展示が紹介されるので、勝手に連動企画的な。みなさんテレビを見て、おお!と思ったら、レッツGO岡谷。岡谷はうなぎの町ナノヨ)
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刊本作品 −武井武雄が創った奇跡の美書たち−
2011年11月18日(金)〜2012年2月14日(火)
「本は限りなく成長すべきものである。」
童画家として活躍する武井武雄が、ブックアートを数多く手掛ける中で、遺憾なく自分の本づくりがしたいと創り始めたのがこの「刊本作品」であった。装丁だけでなく、1冊の本すべてを総合芸術と考え、その可能性を約半世紀にも渡って探求し続けた、自身のライフワークでもある。チャレンジ精神に燃える武井が創りたかった139冊がここにある。
中には伝統工芸を取り入れたり、紙の原料の種子栽培から手掛け、4年半もの歳月を費やしたものもある。しかも毎回の苦労に関わらず利益は一切なし。贅を尽くした、エキセントリックな奇跡の美書といえよう。
イルフ童画館が所蔵する刊本作品の膨大な資料の中から「本づくりの鬼・武井武雄」の仕事を一挙公開。この冬、イルフな刊本作品をみなさまに贈ります。(→HP)
刊本の展示!!しかも全作139冊。待ってましたよパフパフドンドン。わくわく期待して、乙友をさそい早朝(←休日のわたし比)の高速バスに乗り、岡谷までまいりました*1。相当期待してたのですが、その期待をはるかにこえて素晴らしかった。 めくるめく‥。愛と情熱と趣味のよろこびの世界。
- 作者: 武井武雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/05
- メディア: 新書
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箱根の名匠とタッグを組んだ寄木細工の『木魂の伝記』。これ、「本とその周辺」でこまかく解説されているんだけれど、何度読んでも理解できない。そんなこと不可能に思えて仕方ないの。だって寄木よ。寄木細工が本に?なってるわー(驚愕)。
乙友のEさん大感激の「KOKESHI」。武井武雄は郷土玩具にも通じていましたからね。平成こけしブームの今*2、この本はマストバイ。たかくて買えないけど。かわいいんだよおお。
フェルトを貼ったアップリケ?(アップリケって久しぶりに聞いた。アッチョンブリケ)『HAREM』。布の質感が、アップリケ製作に協力した奥さんのきもちがあたたか。この作業を300冊‥。こっちはこっちで愛だよねえ。
Sベランによるゴブラン織『笛を吹く城』は原画が展示されているのだけど、これを見ると、ゴブラン織がほぼ原画どおりだとがわかり、精巧すぎてこわくなる。さすが「本づくりの鬼」と呼ばれた男。
セロファンが貼られた(セロスライド)、ステンドグラスのような幻想性の『極秘亭探訪』。これ後ろから電燈あてたら綺麗だろうなあ。
亡くなられた後に刊行された『鳥遣いの乙女』は、レーザー光線で切り抜いた、‥版画???見た目は白いレエスペーパーのような可憐な切り絵(いやそれはちょっと違うな。やっぱり版画‥?)。左右の色付きの紙に寄りかからせると、白がいきいき輝いて、もう一度話しかけてくるよう。
もうもうもう。どれもこれもものすごい。なにを見ても頭に血がのぼりっぱなし(高血圧のひと危険)。すごいすごいすごい。素敵素敵。感動しながらも、「ここまでやるとはちょっとヘン」なんて思わせる愛嬌もあって。ほんとうに素晴らしかったです。本好きの、美しいもの好きの、ユートピアがここにあるので。 岡谷まで行って損なし、というより、行かないと損。
イルフ童画館では、つねに数冊の刊本を展示していて、この手に触れさせてくれる太っ腹なコーナーがありますが(7〜9冊くらいか)、この展示では、139冊すべてが展示。学芸員さんにお願いすれば、おめあての一冊(と言わずに三冊くらい欲張っても)を、その手に触らせていただけます。思いっきり愛でちゃって。
そうだ、この学芸員さんにとても感銘をうけたの。イルフ童画館では、つねに学芸員さんによる解説を実施してくれているんだけど(受付で申込が必要)*3、わかりやすい言葉で親切な解説、かつ言葉のはしばしに武井武雄への愛があふれてて‥。こういう話を聞きたかったのって大感動。これを体験してしまうと、女優音声によるイヤホンガイドなんて、へのつっぱり以下ですよ。そのほか会場のすみずみに武井武雄への愛があふれていて‥。ちいさい美術館(記念館?童画館?)だからできることなのかもしれないけれど、すべての美術館(記念館?)はこうあるべきだよなあ、って思いました。
惜しむらくは、このわたしの、頭に血がのぼりすぎ、こうふんでくったり疲れちゃったのと、なにしろ濃いのが139冊あるので。集中力が続かなかったこと。途中1階の喫茶室で休憩をとるも、すぐにふらふら。量も多いし密度は濃いし、、、(天国と地獄は紙一重だし)一度では受け止めきれなかった。会期が2月14日までと長いので、もう一度行きたい。そのときには鰻の白焼き定食を食べよう。
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刊本刊本といっても*4、ほんとに実物を見ないと、わたしがこのように熱くなる意味がわからないと思います。我が家のへっぽこデジカメでどこまで伝わるかこれまた疑問なんだけど、我が家の刊本たち(こんな宝が我が家にあっていいのか、まったく身の程知らずなことです)。
NO.82【花園の気流】(1970)
植毛印刷とアップリケ。(2006年宝くじでちょうど本代があたり運命を感じ購入)
NO.74【笛を吹く城】(1968)
Sべランによるゴブラン織。(どこかにゴブラン織はいねがー、と、なまはげのような気持ちを胸に生きていたところ、中野ブロードウェイで発見。ここでか!?とフルエながら運命(以下略
N0.65【人生切手】(1966)
彫刻凹版(郵便展示決定の知らせを受け、がぜんタイトル買い。するでしょふつう)