硝子壜の残像 @杉並区立郷土博物館 分館

〜ガラスびんに映った杉並の風景〜
 

展覧会のチラシがたいそう魅惑的だったので、最終日にすべりこみ。思ったとおり、思った以上に魅惑的な展示だった。
どの瓶たちも麗しかった。昭和初期の化粧品の瓶たちのデコライティブなフォルム。駄菓子屋さんのひょうたん型の瓶は、ユーモラスな型なのに薄手で繊細。どれもうっとりさせてくれた。圧巻だったのは、ガラス窓のまえ、ガラスの棚に置かれたちいさな薬瓶の群れ。瓶のなかにやわらかな光がたまり、まどろむ様子はなんともソフトサイケ。ゆらゆらきらきら光と影のお喋りが聞こえるようで、ながいあいだ棚の前から離れられなかった。
こんな素敵な瓶たちなのに、撮影禁止だなんてつらいなあ。うらめしく思っていたら、下で図録を販売してた。わ!わ!わ!喜び勇んで購入。展覧会は終わってしまったけれど、在庫があるうちはバックナンバーとして販売されるようなので、近くに来たときには寄られることをおすすめ。
この展覧会は、びん博士の「壜の小さな博物館 ボトルシアター」(→☆)から杉並区に関するものを借りた催しらしいので、もとじめのボトルシアターにも行ってみたい‥(はてなキーワードではボトルシアターの収容ボトルはおよそ5万本になっているけど、今回のチラシでは7万本になっている。ふふふ、増えるのよねえ。蒐集‥。ふふふ‥)!

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杉並区とガラス瓶ゆかりの作家として、金子光晴のコーナーもあった。高円寺に2年ほど住んでいて、高円寺にあった親戚の経営する化粧品会社「モンココ」*1の宣伝部で広告などを担当、「花とあきビン(詩集)」刊行と、まさにまさにまさに。

でもわたしが「あき瓶」といって思い出したのは漫画、「小さなお茶会」。

小さなお茶会 (白泉社文庫)

小さなお茶会 (白泉社文庫)

(旦那さんも奥さんも、それぞれに空き瓶を集めている話があったの。文庫版(選集)に収録されてたかな‥)*2
文章だったら、やっぱり森茉莉
贅沢貧乏 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

贅沢貧乏 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

壜のなかの光を偏執的なまでにいとおしむ様子は奇ッ怪だけれど。でも昔のああいうところどころいびつでこっくりした深い色合いの壜だったら‥。気持ちわかるかも。

*1:モンココの意味は「わたしのかわいこちゃん」ですって

*2:すみません文庫版には収録されていませんでした