空気人形(2009) @シネマライズ

演技力といい、美しさ*1といい。とにかくペ・ドゥナが素晴らしい。
以下ネタバレふくむのでたたみます。

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無垢礼賛のように見えて、実際のところは。
イノセンスを甘く見た者の無残な死、無垢ゆえの破滅。「それでも世界は美しい」という残酷なエンディング。
こんな暗い夢がファンタジーとして輝くのは、ペ・ドゥナの魅力によるもので。ペ・ドゥナすごいや。そう言うしかない。まったく、ハード過ぎますが。それでもペ・ドゥナは美しい。ということで(よいのでしょうか)。
ほんと、けっこう酷い仕打ちがちょいちょいあって。いちばん気の毒に見えたのは余貴美子の役どころ。余貴美子はけっこうな年齢で会社の受付嬢をやらされている(これって冷静に考えると肩たたき‥)OL。隣の若い受付嬢が、来客にちょっかいを出されるのを、笑顔で眺めるしかない余。家ではホームエステに精を出す余。その時間、転職のための勉強に使ったほうがいいのに。そんなぎりぎりの余に、「線、これで消えるから!」。100%無垢な親切心でコンシーラ?ファンデーション?を手渡すペ(ドゥナ)。ペは、余のはいていたシームストッキングに親近感を覚えて、その線消えるよーってな行動なんだけど‥。年増の女に「これで線を消せ」って化粧品渡したら、シワかほうれい線を消せと言われたと思うよね‥。ひどすぎる‥(やっぱり無垢を讃える気はないらしい)。挙句の果てには、「わたし、歳を取るの‥」そう言いながら、余にうっとり微笑みかけるペ。わたしが余なら、‥どこまで追い詰められちゃうんだろう‥。それでもペ・ドゥナは美しい。こんなまとめでいいのだろうか。
(ひどいこと書いているけど、名画座に来たらもう一度観たい。もちろんペ・ドゥナを拝むため。ペ・ドゥナは完璧なんだってば)
(「空気人形」はアイドル映画というか女優堪能映画して完璧。2009年のアイドル映画は男性版が「ウルトラミラクルラブストーリー」で女性版が「空気人形」ね、と自分のなかで結論づけて、どちらも主役が同じような役回りであることに気付いた。日本の病理って根が深いのかも。なんだかショック。ちくしょう「カムイ伝」でも観に行くか)

*1:裸体より表情がえろい