大道あや展 @松涛美術館

〜生誕100年記念 けとばし山のおてんば画家(→☆) 〜

意外。かなり穏やかな筆づかい。理知的。思ったより大きなキャンバスに、すみずみまで丁寧に描きこまれている。デリカシーを感じる反面、イキオイが感じられず、すこうし物足りなさも。好きだなあと思う絵は、初期(といってもオーバー60歳)のものに多いのだけれど(「天気予報の猫」「にわとり」)。初期の絵に関しては、本人は「とらわれておった」とふりかえっているようなのだけれど(そして自伝を読むと、たしかにとらわれているかも、と思わされる流れなのだけれど)、‥とらわれに対する反発心が、おてんばパワーだったのかなあ。
好きとは思えないけれど、「しかけ花火」には、圧倒させられた。輝き。爆発。生命って、つかのま。表裏一体の刹那。(あやさんの息子さんは、花火工場に勤めていて、事故で重症になってしまいました。旦那さんも花火の事故で亡くなっています。このときのいろいろな思いの供養(?)として描かれたのが、「しかけ花火」だそうです。でもそういうことを知らなくても、胸にせまる絵だと思います) 
でも落ち着いてから(?)の「薬草」の、チャーミングさ穏やかさ、しみじみした力強さも素晴らしくって。いつまでも見ていたいきもちになった。
絵本の原画コーナーは、ひたすらたのしく。絶版のものが多く現在入手不可なのが残念‥。しかし「あたごの浦」(これは今でも買えるみたい)、子供の頃母が買い与えてくれたけど、ドメスティックな色使いに恐怖を感じて、あんまり好きになれなかった思い出‥(子供時分は、やさしいやさしい絵が好きだった)。でも大人になった今は、かえるのモモルシリーズとか欲しいなあ。特に「モモルのまちのがまおやじ」と、「ねこのごんごん」。ごんごん‥(絵本読んでだだ泣き)。