貸間あり(1959)/雁の寺(1962) @新文芸坐

〜検証・日本映画(4) 映画作家川島雄三 :笑いに秘められる哀しみとニヒル

貸間あり [DVD]

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やけにごちゃごちゃした下宿コメディ。「さよならだけが人生さ」のつぶやきも、淡島千景の粋なまぶしさも、フランキー堺のSFじみた内装のお部屋も、ごちゃごちゃに埋もれてしまって勿体ない。でもいさぎよくごちゃごちゃに徹したという解釈もできそうで悩ましい。雑多さ・バイタリティ(小沢昭一さいこうすぎる)、こまかい風俗描写やどこか冷めた視点などおもしろいけれど、‘「幕末太陽傳」の続編’というのはおおきく出すぎと思う。
雁の寺 [DVD]

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みうらじゅん的映画祭」でもとりあげられていて気になっていた、文芸?エロ?作品。小坊主meets若尾文子の色香、そりゃ犯罪も起きますて。画面がつねに○○越し、奥まったところに焦点をあてる構図で、お寺の奥の部屋、ひとのこころの奥の葛藤、否が応でものぞき見気分。かといってさほど緊張感がたかまらないのはなぜだろう(あっさりしとる)。物語をすべて把握したあとで見たら、人間の業の深さにしみじみしそう。いつか二回目を観る日がたのしみ。