新幹線大爆破(1975)

〜孤高のスタア 高倉健〜 @新文芸坐
「興味本位でつきまとうの、やめてくれませんか‥」健さんにやんわり拒絶される声が聞こえるような雨の夜(ノイローゼ)*1。はからずも健さんの魅力がわかったような気がした。

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東京→博多間を走る新幹線に爆弾が仕掛けられた!70年代超大作を代表するパニック映画の大傑作。見せ場から見せ場へアイディアの奔流、犯人と捜査陣の駆け引きなど、面白さがてんこ盛り。犯人側のリーダーを演じる高倉健の寡黙な表情が見もの。(カラー・シネスコ・152分)

健さんは、犯人側のリーダーなんですよ。意外じゃないですか、犯人側。爆弾を仕掛けて、1500人の乗客の命を脅かすわけですよ。健さんともあろう人が*2。これが、自滅の美学っていうか、絶滅危惧種のような気高さ、放っておけなさ。ああ、これか‥。これが健さんの魅力か。犯人チーム(以下、チーム健さん)のほかのメンバーのへっぽこさ(10代の少年と、20代?の学生運動くずれ。ていうかたったの3人!)も、健さんの崖っぷち感をたかめてイイワ‥(うなだれながら)。チーム健さんを追い詰める警察側の非情な態度が、チーム健さんへ肩入れすることを許してくれるので、もう全身で健さんを応援しまくり。まあ応援されたところで、絶滅種は絶滅してしまうんですけど‥。こうなるしかない、というのが悲しくも美しいラストは笑うしかないくらいにかっこいいです。ふう‥。
チーム国鉄の面々のつらがまえもかっこいいです。というかチーム国鉄がかっこいい。1975年はほんとにあんなコンピュータシステムがあったのかな。ウルトラ警備隊みたいな鉄道本部?のコンピュータが、古き佳き感にあふれていいかんじ(このレベルのSFが好物)。全体的に無謀ないきおい映画なんだけど(運転手さん汗かきすぎ)、寡黙な健さんが主人公ということでクールダウン感とギリギリ感が生まれ、非常におもしろいです。ああもうはじめから「おもしろかった!」とひとこと太文字で書けばよかった。

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この映画は、アクション映画・パニック映画であると同時に、鉄道映画でもあるのだけれど。家に帰ってつけたTV、タモリ倶楽部でも熱い鉄オタ(原田芳雄。ヨシオゴー)が活躍していて。世界は鉄が回している‥と思いながら眠りについた(いい夜でした)。

*1:バウスで「爆裂都市」も観たかったけど、仕事してたら間に合わなくなり悩む手間がなくなった。クスン

*2:でも、任侠映画での健さんは、たいてい男気にあふれ真面目な性格ゆえに、結果融通が利かず犯罪者になって「終」だもの、もとから寡黙な困ったちゃんキャラなのか