よるのひるねイベント

Kにつれられて「昆虫食のひるべ」。

ゲテモノ食いでもなく動物愛護でもない、肩肘はらない昆虫食を提唱する昆虫料理研究家・内山昭一が贈る実践的昆虫食入門。阿佐ヶ谷駅前「よるのひるね」(夜の午睡)で定期的に開催

(昆虫の写真もいくつか撮ったのだけど、自分で見てふつうに引いたので。かわりによるのひるねにおいてあったかわいい絵本の写真)

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わたし、イナゴの佃煮も食べたことない(拒否し続けてきた)んですけど‥。でも、頭ではわかっているの。習慣の問題だと。生まれたところに昆虫食の習慣があったら、あたりまえのように食べているのだと。普段自分が食べてる豚だって牛だって鶏だって、食肉になる過程は、おそろしい光景があるはずなの。見えてないだけで。そう考えるとどっちがグロテスクかなんて、わからないでしょ?そんなふうに自分をはげましながら阿佐ヶ谷まで。緊張しすぎて、「‥やばい、今なんでここにいるのか考えたら吐きそう‥」などと言い出すK。なんてこったい、帰っちゃう?‥でも定員制だもん・予約しちゃったもん。ドタキャンしたら迷惑かけちゃうよね‥。気分はもうドナドナ。
よるのひるね」には、何度かおじゃましてるんですけど。今日は椅子やテーブルがとっぱらわれ、床一面に緑色のビニールシートが敷かれていて。非日常感にびびりました。「昆虫食のひるべ」常連の青年がやけにさわやかだったことにびびりました。客層は一言でいえば「中央線」。タコシェの店内のようです。
(すみません書く勇気がでなくて、一週間以上寝かせていたので、記憶がかなりとんでます)
調理作業としては、6人くらいでひとつの蜂の巣を囲んで、蜂の巣から蜂の子をひっぱりだしました。ピンセットを持ってこなかったので、ぼんやりながめていたら、親切なおじさまがピンセット貸してくださいました。オオイエー(やけくそ)。地道な作業ながら、ヒュルンと蜂の子が抜けるとちょっと爽快。しかし失敗して蜂の子をつぶしてしまうと暗澹たるきもち。プラスマイナスでいえばマイナス。わたし的にはハイリスクな作業。自分、不器用ですから。みっつ蜂の子をつぶしたあたりで、隠居というか見学に徹しました。
(この日は大阪のTV局から撮影が入ったため、なんか色々前後したので記憶があいまい)(TV撮影はぶっちゃけ邪魔だった)(かわいいタレントさん見て多少うれしかったけど)(しかし撮影がなくても記憶はあいまいだったであろう)(なぜならそう、恐怖に支配されていたから。‥うそ。緊張してたから)
食べたもの、(1)オードブルとして(?)イナゴの佃煮。人生初イナゴ。おそろしくてどうしよう‥とフリーズしかけたけれど、「みんなこれは大丈夫でしょ?むしろ好物でしょ!」という雰囲気なのでここで一人拒否声明をだせるわけもなく‥というか、それ言い出したらオマエなにしに来た、という。この日の自分全否定‥。姿を見ないで口に入れた人生初イナゴの感想は、「乾物。そして佃煮」。ただやけに乾いているけどね。へへっ!(涙目) (2)(みんなで巣からひっぱりだした)蜂の子入りカルボナーラ。蜂の子の味が濃厚なので上にかけてアクセントとして。これは、多少自分をごまかせば食べられた。蜂の子の味は、ナッツのようなチーズのような、魚の肝のような。ただ、いちどきにこんなに大量に食べないよな?という量だったので少し残させてもらった。若者はおかわりしていた。若いって胃腸が頑丈なのね。そして精神も。 (3)虫入り蒸しパン。こんなトンチいらない。これはダメだった。異物混入感がダメだった。どうしても、虫が!入ってる!!という事故感ぬぐえず。虫部分に塩・コショウされていたのもダメだったかも。甘く煮詰めてあればジャム気分でどうにかなったかも‥。いや‥ やっぱビジュアル的にダメだと思う。 (4)虫ペーストのせカナッペ。リッツパーティ、こんなふうに開催されるとは。これは虫が見えないのでふつうに食べられた。 (5)素揚げ。カルボナーラがけっこう油っぽかった(TV撮影などあり出来立てが食べられなかった。ゆでてから5分以上経過って、ふつうにありえない)ので、もうこれ(揚げ物)はパスしよう‥と思っていたけど、周囲から励まされ、セミとバッタを。なんつーか揚げ物。バッタは甲殻類みたいなかんじ。ソフトシェル。セミは、「セミはもう、アーモンドだから」と励まされたけれど、まあ、なんていうか。味はアーモンドでも、食感カサカサ。揚げ物はそのほか、マダガスカルコックローチ(ゴキブリというより三葉虫ぽい外見)やサワガニや蜘蛛なども振舞われたがうなだれてながめるのみ。サワガニがいちばん美味しいというしごく妥当な評価をどう受け止めたらいいのか。
TVの撮影にかなり時間がとられてしまい、参加者の人とあまりお話しができなかったのが残念*1。「虫を食べるということに興味があって。夜の公園でコオロギを捕まえて、揚げて食べたりしました」と語る青年(もしかしたら少年)。なにがあなたをそうさせる。その情熱はどこから。(根堀り葉堀り聞きたかった)
「‥美味しいといえば美味しいけど‥。まあ食べられるというか‥。むさぼって我れ先に、というほどじゃないね」、とぼそっと発言した青年。ナイスコメント。こんな状況で、「我れ先にむさぼり食う」というのは、たとえウニを出されても、なかなかならないことだと思うが(この青年のコメントはひとつひとつ気が利いていて、わたしのツボだった)。
参加者はなんかみんな、いい味だしてた。女の子はたいていかわいかったし。

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とりとめなくなったけど【まとめ】。昆虫は、食べようと思えば食べられる。雰囲気って大事。しかし昆虫でおなかいっぱいになるのは大儀そう。なにしろ小さいので。自分としては、すごい効用(健康・美容等)がないかぎり、自発的には食べないと思う。‥虫を食べることでなにか人間的に成長するかと思ったけど(うそ)、しなかった。人は誰でも未知の世界に憧れ(頭をよぎった「釣りキチ三平」のテーマ)。未知の世界に憧れるのも考えものだ。(でもKは、おもしろそうな人の集まりだったのでまた参加したいと言っていた。今回わたしがダメダメだったので自分の友人で誰が来てくれそうか考えていた)
帰り道、このあとの人生で今日という日はどんな一日になるのかしらと思ったけれど、‥特にどんな一日にもならないだろうな。もしもKと別れることになったらどうかしら。「あのバカ(K)に付き合わされて、とんだ目にあった日もあった」と汚点になるかしら。「あの人(K)とだったら虫も食べられる、そんなチャレンジもできた」と美点になるかしら。家に帰ってからKが、「なにか歯にはさまってると思ったらバッタの足だった〜」とバッタの足を見せてくれた。なんというか異次元。見たくなかった。

*1:でも聞きたいことはたくさんあるけど、話したいことは特にないからまあいいか