それでも生きる子供たちへ

ひとつひとつ、真摯に作られた映画だと思うけれど、そのメッセージの重さに押しつぶされそうになってギュウギュウな胸になった。たぶんこうなるだろうなーってことは、観る前からわかっていたけど。(予想できすぎて怖気づき、ロードショー時に見逃した。今日は早稲田松竹でラスト一本割引だったのででかけた)
■それでも観に行こうと思ったのは、監督のなかにエミール・クストリッツァの名前があったからで。彼の作品『ブルー・ジプシー』が、やはりいちばんじんときた。悲惨な世界でつよく生きていくために必要なもの、それが音楽と笑いとばすためのバイタリティ、ていうかっこよさにしびれた(しかし彼のことを書くたびに、自分の言葉のうすっぺらさを痛感するなあ‥)。■あといいなあと思ったのは、ブラジルのカティア・ルンド(この監督知らないや)の、『ビルーとジョアン』。子供たちに同情するだけでなく、生命力を信じるかんじ(子供の生命力だけでなく、生命力自体の肯定)が素敵だった。■イタリアのステファノ・ヴィネルッソ(この監督も知らない)の『チロ』は、主役の少年の少年としての表情がとてもよかった。ラストの幻想的な光もやさしくて救われた。こういう映画の救いの分量ってすごくデリケートなんだけど、これはビターでよかった。■まあ7作品どれもしっかり作られたものだと思う(こども相手に手はぬけないよね)のだけれど。■スパイク・リーの『アメリカのイエスの子ら』は、途中あまりにつらい展開*1に、「‥やっぱ‥。見るんじゃなかった‥」とくじけそうになった。このオムニバスのなかでいちばんのくじけポイントがここだというのは我ながら不思議で、「なぜこれがつらいのか」を考えていたのだけれど、「でてくる大人がだめすぎる」のが原因なのかなあ。社会のなかにいる自分をどこかに見てしまうから?そう考えるともっとも成功した作品ともいえる、のか?■ルワンダの少年兵の映画『タンザ』は、荒削りな展開(?)が逆に説得力なのだな、と解釈しながら観た。なんだかよくわからないまま、引き金はひかれてゆくのだな、と。終わり方はわかりすぎるほどわかった‥気がする。じつにじつにじりじりした。■リドリー・スコット&ジョーダン・スコットの『ジョナサン』は、主人公が大人なところがよかった。映像が美しく、こういうのが混じるとオムニバスの奥行きが広がるなあ。■ジョン・ウーの『桑桑と子猫』は、子供に演技をやらせすぎな気がした。健気すぎて、なんて意地悪な監督だろう、と思いながら涙。やりすぎだー!と思いながらも、ここまでやられたら泣きますて。卑怯だなあ‥。
‥なんかこうしてひとつひとつ感想を書くと、どれもたのしく観れたのだけれど。まとめて観ると、くるものがありすぎた。そんな130分。

*1:クラスでいじめられるのもつらかったけど、いじめっこの親に一方的に罵倒されるところがつらすぎた