美学校:ゲスト宇野亜喜良

五月が素敵なのはサンザシが咲くから♪。さわやかな風に歌を口ずさみたくなるけれど、サンザシの花って地味‥(→☆)。サンザシはともかく、明日館まえの薔薇がまっさかり。五月って素敵だなあ、頬がゆるんじゃう。
そんな爽やかな五月のゲストは、イラストレイターにしてグラフィックデザイナー、乙女文化というか日本の文化の重鎮・宇野亜喜良さん。ウワァ‥!(歓喜の声)
(今日のおやつは、千本饅頭と草団子。五月‥)

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宇野さんの姿を拝見するのははじめてだったのですが。たとえばルネさんがひとめ見てルネさんであるのに対して、宇野さんは、一見しただけで宇野さんとはおろか、芸術家とも気付かないさりげない装い(外見からアピールする気がなさそうな)(とはいえ上品でスマートで只者ではない的オーラがでている)。少女のイラストを描くときは、「こんな少女になりたい」とか、「こんな少女を育てたい」とか、そういう想いはありますか?という質問に、そういう想いはまったく無い・そういう意味では自分はまったくのリアリスト、とこたえてらっしゃいました。リアリストというかプロフェッショナル?
昔作った前衛っぽいアニメのDVD(AQUIRAX CINEMA AQUIRAX CINEMA アキラックスシネマ [DVD]のなかから、「お前とわたし」。ヌマ伯父先生いわく、「チェコっぽいですね」。絵を動かすのはたいへんだから、皮膚に絵を描き、皮膚を動かすことでアニメにするというコペルニクス的発想?。ほんのりエロティック)(宇野さんは70年代に、刺青の下絵を描いたことがあるとか。でも図柄が少女の横顔に動物をからませる‥って‥ 弱そう‥。弱そうだけど怒らせたらこわそう。すんごくこわそう)を見て、ヌマ伯父先生とお話。さいきんのお仕事、吉川ひなのmeets宇野亜喜良という夢のような撮影風景(リクエストQJ:2007年9月号)の様子(動画)を見て*1、おやつ食べて、質問コーナー。ひとつひとつの質問に、ほんとうに丁寧にこたえてくださって。大好きな絵本についての思い出話を聞いている間の乙友は、ほんとに幸福そうだった。この時点で6時を過ぎていたので、質問終了でいったんお開き。そのあと、乙女をテーマにしたイラストを描いていただくのをみんなで拝見して。このイラストをもとに乙美オリジナルTシャツをつくるとか(?)。おお、豪華‥。大御所であるのに今まででいちばん!長い授業(3時間半!)でありました。1934年生まれにしてこのお元気さ、手の抜かなさ。いつまでも第一線でいらっしゃるわけをほんのり垣間見せていただきました。

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印象的だった断片。その1) 好きな映画についてのおはなし。「たくさん見てるけど憶えてないンだよねー‥。好きな監督はフェリーニ。でも観ながら寝ちゃうから、ぜんぶで一本の映画みたいな印象」。 (わたしもフェリーニ寝ちゃうので、すごく心強くうかがいました!) ちなみにおすすめの映画は「天井桟敷の人々」。観るたびにちがうおもしろさがあるとのこと。40代の女性がヒロインとして成立するところにフランス文化の成熟を見たとか。日本映画では黒澤明がおきにいり。「でも黒澤明って女の人には人気ないよね‥。そもそも三船がうけないでしょ。女の人には」。(うんたしかに‥(ぼんやり)。意外と骨太いご趣味なのだなあ。フランス(海外)で生活したいと考えたことはないけれど、江戸時代なら行ってみたい、とか)  
その2) 音楽はたいてい好きだけど、ジャズはなんだか苦手。ジャズ喫茶とか行って、まわりがウンウン頷きながら聴いてるの見て、なんかちがうなーって。「日本人がこんなことしちゃって‥」。(話しぶりがユーモラスで可笑しかった) 
その3) 好きなことを仕事にしちゃったので趣味らしい趣味がない。たまにパチンコに行ったりするくらい(意外!)。「今、自分のなかに何度目かの漫画ブームが来ていて。「花の慶次」という漫画がおもしろいんだけど‥女の人は読んでないかな。この作者にとって、強いこと、イコール大きいこと、みたいな方程式があって。たとえば、主人公が乗る馬は、ふつうの馬の3倍くらいの大きさなの。それで、花の慶次のパチンコでは、そのキャラクターの絵が使われるンだけど、大きさまではフォローできなくてわかンないんだよねえ。ちょっとつまらないの」。(「この作者にとっては大きいことが強いことなんだな!」って思って吹き出す宇野さんの姿を想像して、可笑しくなった)
その4) 「宇野さんの描かれる少女の絵が大好きで‥。どうやったらあんな風になれますか?」という質問に。「なりたいと思ったときに、半分くらい、なっている」 とヌマ伯父先生。そんなバカな‥と思いつつ、実際この質問をだした生徒さんの風貌が、うわーほんとだ!半分以上宇野さんの絵だ!というかんじの雰囲気のある方で!非常に感銘をうけました。乙美‥。まだまだ学ぶことが山積み‥。

*1:宇野さんとヌマ伯父先生おふたりが、ひなのちゃんを「あの子はいい子だ、すごい子だ」と絶賛するのを見て、なんだかやけにうれしいわたし。そう、わたしはほんのりしたひなのファン。「1979年生まれ(若き日のエッセイ)」も「イリュージョン(仮装写真集)」も持ってるもん!買ったの古本屋さんだけど